薬剤師だけではなく、新しい仕事に就こうとする人が必ず通る関門、面接。
薬剤師は長く求職者の売り手市場が続いたので、あまり面接を重視していない方が多い印象です。
でもここ最近、転職面接に落ちる方が増えてきているんです。
せっかく条件に合う求人が見つかっても、転職面接に落ちては意味がないですよね。
そこで私が転職エージェントとして色々な面接に同行してきた経験から、高倍率のお宝求人を勝ち取る面接のコツをお伝えします。
しっかり転職面接対策をして、希望を叶えられる好条件の職場で働きましょう!
薬剤師の面接が、ただの顔合わせという時代は終わりつつあります。
希望の求人を逃さないために、しっかりと面接対策をして臨みましょう。
はやた
元薬剤師専門の人材エージェントで、10年以上勤務経験あり(人材派遣、人材紹介)。キャリアアドバイザーや法人営業として、薬剤師の転職サポートを年間100名、合計500名以上実施、大手薬局やドラッグチェーンの人事担当や採用責任者の方とやり取りしてきました。趣味はマラソン。
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薬剤師にとっての面接って大切?受ければ受かるのでは?
私が新卒のときは、受けた職場は全部受かりましたよ。
今の面接ってホントにそんなに難しいんですか?
特に新型コロナウイルス流行以降、面接に落ちる方はかなり増えています。
特に都市部では4社以上転職面接を受ける方もいるほど、コロナ禍の薬剤師の転職は厳しい状況です。
各業界で、未経験者が転職面接を受けた場合のおおよその合格率を表にしました。
20代 | 40代 | |
中小調剤薬局 | 80% | 60% |
病院・クリニック(中小規模) | 70% | 40% |
ドラッグストア/大手調剤薬局 | 60% | 30% |
企業(DI・CRC・医薬品管理など) | 30% | 10% |
※大病院はエージェント経由での採用を行わないので不明
年齢が上がれば上がるほど、未経験者の合格率はガクンと下がります。
50代未経験で病院やドラッグストア・大手調剤薬局を受ける場合は、かなり頑張らないと内定は出ないですし、書類時点で断られることも多いです。
今でも「受ければ受かる」と面接を軽く考えている方は少なくありません。
40代以上で「絶対受かる」という態度だと、今はかなり厳しい結果になります。
大手や病院だと、内定は恐らく出ないでしょう。
よい求人には応募が殺到する?
薬剤師の求人には、募集を出しても全く応募がないものから、即日数人の応募があるお宝求人と呼ばれるものまで様々です。
応募がない求人だと「受ければ受かる」状態にはなりますが、好条件のお宝求人は応募が殺到するので面接で振り落とされることに。
いわゆるお宝求人といわれるものは、以下のような求人です。
- 駅から近い好立地
- 高年収
- 土日休みや残業なし
- 希少ポジション(本社勤務やエリアマネージャー・採用や研修担当など)
お宝求人の多くは、中小調剤薬局によるものです。
「好立地」「高年収」「土日休みや残業なし」の求人が中小調剤から出ると、求人倍率は3~4倍ほどになります。
(1人の募集に対し、3~4人の応募)
ドラッグストアや大手調剤では、配属店舗が事前に選べないこと、年収テーブルが決まっていることからお宝求人はほとんど出ません。
まれに「希少ポジション」の求人が出ることがあり、倍率は3~5倍ほどです。
それなりの経験やスキルが求められるため、内定が出る確率は通常の求人の1/3くらいになります。
病院もお宝求人が出ることはほとんどないですが、「好立地」の病院で求人が出るとそれなりに人気が出ます。
求人倍率は2~3倍くらいです。
企業からは「好立地」の求人がまれに出て、3~4倍の求人倍率となることが多いです。
年に1~2件くらいですが、超お宝求人と呼べるレベルのものも出ます。
こちらの記事では「都内管理薬剤師で年収720万円」の求人に出会った体験談を紹介しており、1人の募集に対して即日5人の応募があったそうです。
このような超お宝求人を勝ち取るにも、面接力はかなり大切ですね。
薬剤師にも面接対策は大事
「お宝求人」と呼ばれる好条件の求人は、もれなく求人倍率が高くなります。
応募者多数の中を勝ち抜くには、面接の内容がとても重要。
お宝求人狙いじゃなくても、ドラッグストアや大手調剤薬局は面接を厳しく見る傾向があるので、対策なしで挑むと普通に「見送り」になってしまうことも。
お宝求人を手に入れるため、希望の職種につくために、薬剤師でも面接対策が必要な時代になっています。
以下では「受かる面接のコツ」を解説していきますので、転職を考えている方は必ずチェックしてくださいね!
転職エージェンが見た面接に落ちる薬剤師・受かる薬剤師の特徴
転職エージェントとして多くの面接に同行した中で、面接に落ちる薬剤師・受かる薬剤師のパターンが見えてきました。
それぞれの特徴を挙げていきます。
面接に落ちる薬剤師の特徴
まずは、面接が上手く行かない薬剤師さんによくある特徴です。
面接が上手く行かない薬剤師の特徴
- コミュニケーション能力が低い
- 人物面に問題がありそう
- 見た目や面接時の態度が悪い
- 中長期的に働く意思が見られない
- 知識経験が乏しい
面接担当者の質問にハキハキと答えられない人、自ら自己アピールできない人は、特にドラッグストア・大手調剤から敬遠されます。
前職の理由がネガティブな場合、あまり正直に言いすぎると悪い印象を与えるので注意です。
どのように伝えるかは、事前に転職エージェントと相談しておきましょう。
転職回数が極端に多い・退職理由や志望動機があいまいな場合には、中長期的に働くビジョンが見えないと判断されることがあります。
面接に受かる薬剤師の特徴
逆に、以下のような特徴に当てはまる薬剤師さんはお宝求人にも通りやすいです。
実際に内定が出た際の人事担当者の評価ポイントやコメントから、共通しているものを抜粋しました。
面接で受かりやすい薬剤師の特徴
- コミュニケーションが取りやすい
- 人柄も問題なく、患者さんや周りのスタッフ・医師と上手くやれそう
- 真面目で勉強・学習意欲が高い
- 中長期的に(当社で)働いてくれるイメージが持てる
- 薬剤師としての知識や経験が豊富
上記の5つのポイントは、そのまま面接官が面接で重視していることと同じです。
多くの面接官が重視するのは、知識やスキルよりもコミュニケーション能力や人物像などのヒューマンスキル。
経験が豊富に越したことはないですが、多少不足していても勉強意欲が認められればカバーできます。
コミュニケーション能力が高い薬剤師は、好条件への転職が叶いやすい傾向ですよ。
現場の薬剤師に求められるコミュニケーションスキルを買われて年収アップの転職に成功した例を、「コミュニケーション能力のある薬剤師はなぜ年収アップが可能なのか」にまとめてありますので読んでみてくださいね。
薬剤師の面接対策
面接に落ちる薬剤師・受かる薬剤師の特徴を踏まえ、面接の事前対策はこのように進めていきましょう。
薬剤師の面接対策
- 「薬剤師の転職面接は落ちる」という意識を持つ
- 自己分析をして、自分の強みや弱みを見つめなおす
- 自己アピールできるポイントを明確にする
- 退職理由と志望動機をまとめる
- 好印象が与えられるように面接練習をする
1つずつ見ていきますね。
1「薬剤師の転職面接は落ちる」という意識を持つ
まずは、以前と違って「薬剤師の転職面接は落ちることがよくある」という認識を持つことが大切です。
その上で「自分が採用担当者だったらどういう人を採用したいか?」と考えてみましょう。
エージェントの仕事をしていると「面接の時くらい、謙虚に真摯に対応しましょうよ…」と思うことが多くあります。
せっかく良い職場に入れるチャンスがあっても、敬語を遣わない・挨拶をしないなど、つまらないことで台無しにするのはもったいないです。
2自己分析をして、自分の強みや弱みを見つめなおす
面接に臨む姿勢が整ったら、自己分析をしてどういったところをアピール・フォローするのか考えてみます。
例えば自己分析にて「知識・経験面で不安がある」と気が付いたら、面接にて「これからの学ぶ姿勢」でフォローします。
転職成功のために自己分析は欠かせないので、一度早めにしておきたいですね。
自己分析の仕方は「薬剤師の転職での自己分析のやり方【実例付き】」にまとめてありますので、参考にしてください。
3自己アピールできるポイントを明確にする
エージェントとして転職者の相談を受けていると「アピールできるものがない…」とおっしゃる方も少なくありません。
実は決してそんなことはなく、例えば「マジメに仕事に取り組んできた」ことも当然アピールできるものです。
特別なスキルや経験がない方は、どのような姿勢で仕事に取り組んできたかをアピールしましょう。
転職面接でアピールできるポイントについては「【実例解説】薬剤師が転職のときに使えるアピールポイント6選」にもまとめてあります。
4退職理由と志望動機をまとめる
退職理由と志望動機は繋ぎ合わせ、「過去」「現在」「未来」が繋がっているとスムーズです。
ネガティブな退職理由は相手にマイナスなイメージを与えるので、上手くポジティブな内容に言い換えできるといいですね。
退職理由の言い換え例
『職場の人と合わなくて辞めた。』
『患者さん対応など新しいことにチャレンジしたかった』
このようにポジティブに言い換えた上で、退職理由を「過去」「現在」「未来」とだんだんと志望動機へと繋げて行きましょう。
例えば、このような説明の仕方ができます。
退職理由と志望動機の説明例
- 過去
今まで病院で働いてきて様々な薬には触れてきたけど、分業制だったので患者さん対応が少なかったのが不満だった。 - 現在
今後は身近な患者さんや地域医療に触れることができる薬局で働きたいと思った。 - 未来
将来はより患者さんに信頼してもらえるように、かかりつけ薬剤師や在宅等にもチャレンジしていきたい。
…かかりつけ薬剤師や在宅医療に力を入れている、御社を志望致しました。
などですね。
このように退職理由・志望動機を組み立てられると、面接担当者からの印象は格段に良くなりますよ。
「薬剤師として知識やスキルをあげていきたい。」という姿勢が見える人しか採用しない企業も増えています。
特に大手企業やドラッグストアを受けるなら、退職理由や志望動機の中で前向きに勉強したい意思を伝えることが大切です。
面接官に刺さる退職理由と志望動機の伝え方は、「薬剤師転職面接の退職理由と志望動機はセットで考える!転職エージェントが解説します」にまとめてありますので併せて参考にしてくださいね。
5好印象が与えられるように面接練習をする
繰り返しになりますが、面接官が重視するのは知識やスキルよりもコミュニケーション能力や人物像。
どんなに良い回答をしても、態度が悪かったり声が小さい・暗いなど印象が悪いと意味がありません。
普段は明るくハキハキと話せる方なのに、面接だと緊張してしまい普段の自分を出せないこともよくあるので面接練習はとても大切です。
家族や友人に協力してもらえるなら、模擬面接をしてみましょう。
転職エージェントに模擬面接をしてもらうのも良いですね。
エージェントに電話で模擬面接をしてもらうだけでも、十分意味があります。
模擬面接をするに当たって、聞かれそうな質問を書き出して返答を紙にまとめておくとスムーズですよ。
面接でよく聞かれる質問については、以下でご紹介します。
他の人に見てもらったり、自分で後で見たり聞いたり「客観的」に見てみるのがポイントです。
携帯電話などで自分が話しているものを録音・録画してみるのもオススメですよ。
内定率アップのワンポイント
ここまでのステップを踏むことで内定率はグッと高まりますが、お宝求人など求人倍率が高いものを狙うときは、こちらもチェックしてください。
転職面接の内定率を上げるコツ
- 求人先のHPや企業パンフレットをよく読んで、内容を面接時に活用する
- 面接を受ける薬局やドラッグストアに患者やお客さんとして訪問し、感想を伝える
志望動機などに企業理念や特徴を織り込むことで、「やる気がある」と判断されます。
実際に薬局やお店に行って「〇〇の対応が素晴らしく、自分もこの中で経験を磨きたいと感じました。」と伝えるのも良いです。
どちらも「どうしてもここで働きたい!」という気持ちを伝えるのに有効ですね。
面接を工夫して転職を成功させた先輩の体験談は「薬剤師の転職面接のコツ、転職成功者が人気求人を獲得したノウハウのすべて」で紹介してありますよ。
薬剤師の面接、よくある質問
実際に薬剤師の転職面接で聞かれる質問の中で、よくあるものを抜粋しました。
ほぼ必ず聞かれるのは、こちらの2つです。
- 転職理由はなんですか?
- どうして当社を応募しようと思ったんですか?
追加で聞かれる可能性が高いものは、こちら。
- 今までの仕事についての質問(経験してきたことや対応科目等について)
- 今後はどういうキャリアを考えているのか。
- どういう分野に興味があるのか。
- 転職活動をする上で重視しているポイント
- 仕事をする上でのこだわりや大事にしていること
これらの内容をまずは紙に書き出して、模擬面接でスラスラ答えられるまで練習すると良いですね。
その他面接で気を付けること
面接での回答以外にも、気を付けておきたいポイントがあります。
服装
リクルートスーツじゃなくても良いですが、ジャケット・襟付きシャツはマスト。
悩むようならスーツが無難です。
時間
遅刻は当然厳禁ですが、早すぎるのもマナー違反。
約束時間の10~15分前に到着するのがちょうど良いですね。
清潔感
髪型はシッカリと整えておきましょう。
「タバコ臭かった」と面接NGになるケースは意外と多いので、ニオイケアも意識してください。
転職の内定率は、面接の事前対策をするかどうかで全然違います。
転職活動一番のがんばりどころなので、エージェントと協力して万全の体制で臨みましょう!
薬剤師の面接対策で転職エージェントが助けてくれること
各社薬剤師向け転職サイトには、面接サポートサービスががあります。
サイトによって受けられるサービスは違いますが、一般的な面接サポートについてご紹介します。
面接同行サービス
転職エージェントから受けられる面接サポートの中で、代表的なのが面接同行サービスです。
面接の場に、100%自分の味方でいてくれる人がいるのは心強いですよ。
面接同行サービスを利用するメリット
面接同行サービスを利用するメリット
- 面接の場の雰囲気づくりをしてくれる
- 答えに困ったときにフォローしてくれる
- 求職者の回答にプラスしてアピールしてくれる
- 採用担当者にプレッシャーを与えてくれる
詳しくは「薬剤師転職の面接同行サービスで転職に成功する5つの理由」で解説していますので、面接同行について興味がある方は読んでみてくださいね。
その他面接対策
ほかに転職エージェントから受けられる面接サポートには、以下のようなものがあります。
模擬面接
支店で直接もしくは電話にて、実際の面接と同じ流れを練習します。
エージェントに模擬面接をしてもらうことで、面接に対するアドバイスも受けられるため、積極的に活用しましょう。
紹介サイトで決めているサービスでなくても、担当エージェントに相談すれば実施してもらえることが多いですよ。
資料・情報提供
過去の実績を元にした「面接時の注意点」に関する、独自の資料やメールがもらえることもあります。
複数面接を受けるのであれば、先に受けた企業の面接時の評価や懸念などを企業から聞き出して、求職者にフィードバックしてくれるエージェントもいます。
面接サポートは転職サイトに登録すれば自然に受けられるものではなく、「希望があれば対応する」ということが多いです。
希望や要望があれば、求職者からエージェントに伝えた方が良いですよ。
薬剤師の面接対策に強い転職サイト
薬剤師向け転職サイトの中で、面接対策に強いところをご紹介します。
転職サイト選びに悩んでいる方は、参考にしてみてくださいね。
- マイナビ薬剤師:https://pharma.mynavi.jp/
求職者の希望があれば、面接同行をしてくれます。
企業情報を多く持っているので、しっかり面接対策してから挑めますよ。 - ファルマスタッフ:https://www.38-8931.com/
基本的に、面接は完全同行です。
事前に要望を出せば、模擬面接も対面で行ってくれることが多いです。 - 薬キャリ:https://agent.m3career.com/
面接行動は基本ないですが、多くの情報はもっているので、過去に落ちた方や受かった方の情報提供料は多くあります。
薬剤師の面接対策|まとめ
記事の最初にもお話しましたが、転職面接において、ここ3~4年で企業側から「見送り」となる率は年々高くなっています。
エージェント側からしても「え?あの高スキルの人落ちたんですか…!?」なんてことも増えてます。
詳しく聞いてみると、高スキルでエージェントとの会話は問題ないけど、面接でシッカリ話せていなかったということは多いです。
せっかく自分にピッタリの求人を見つけても、面接で落ちてしまってはもったいないので、念には念を入れてしっかり準備して転職面接に臨みたいところです。
エージェントがおこなっている面接対策は、レベルの高いことをしているわけではありません。
ただ客観的に自分の状態を見つめなおすことで、「自分にはこういった強みがあるのか」というプラス面や、フォローが必要なマイナス面が見えてくることも多いです。
エージェントと協力しながらしっかり転職面接対策をして、希望の職場の内定を勝ち取りましょう!