ほとんどの職業では、転職の際に“履歴書”と“職務経歴書”を提出しなければなりません。
薬剤師の転職においても、これらの双方の提出を求められる場合があるでしょう。
ただし、薬剤師は専門職であるので、一般的な職種の職務経歴書とは書き方が少し異なります。
今回は、薬剤師の“職務経歴書の書き方”と“差をつける方法”をご説明させていただきます。
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薬剤師の職務経歴書の目的
「薬剤師は職務経歴書なんていらないよ」という方も、少なくはありません。
実際に職務経歴書を必要としていない企業もあるので、他業種に比べるとマストではないようです。
しかし、企業側が得られる応募者の情報は、ほとんどの場合は履歴書と職務経歴書に限られます。
これらに加えて、15~30分程度の面接で採用の合否を決定しなくてはならないので、職務経歴書が持つ役割は決して小さなものではないのです。
そこでまずは、企業の採用担当者は「履歴書」と「職務経歴書」でそれぞれ何を読み取ろうとするのかをご説明します。
企業が履歴書から読み取る応募者の情報
一般的に履歴書では応募者の基礎的な情報を確認します。
- 居住地や学歴、職務経歴などが適しているか
- 転職の動機や企業への思いはどうか
- 希望給与や条件などに隔たりがないか
転職にあたっての心構えや、基本的なプロフィールなどですね。
面接につながる履歴書の書き方については、こちらの記事にまとめたので参考にしてください。
一般的な職務経歴書で見られること
一方で職務経歴書では、応募者の業務内容に対しての情報を確認します。
- 任せたい仕事に対して本人の実務経験・能力が適合しているかどうか
- 仕事に対する考え方や取り組み方はどうか
- 発揮できる力・強みを自覚しているかどうか
- プレゼン能力はどうか
- キャリアプランに対して今回の転職がマッチしているかどうか
応募者の具体的な能力やスキルなどが重視されます。
薬剤師の場合は職務経歴書から何を見られるか
薬剤師の場合は、下記のような能力を職務経歴書から読み取ろうとされます。
- 基本的な薬剤師としてのスキルを有しているかどうか
- 発揮できる力・強みを自覚しているかどうか
- プレゼン能力(=服薬指導の能力)はどうか
- 任せたい薬局の仕事と本人のやりたい仕事がマッチしているかどうか
薬剤師の職務経歴書で差をつけるポイント
企業の面接担当者は、初対面の応募者のキャリアや能力を、与えられた資料から読み取らなくてはなりません。
履歴書からは本人の学歴や居住地、趣味や嗜好などを判断することが出来ますが、仕事の能力などは推し量ることが出来ません。このような場面で、職務経歴書が力を発揮してきます。
一般企業の営業職などであれば、売り上げの成果や担当していたプロジェクトなどを書かなくてはなりません。
しかし、薬剤師という職業においては、普段の業務を数字などの具体的な成果としてあらわすことは難しいです。
そこで薬剤師の職務経歴書では、下記のような薬剤師としてのスキルを伝えることが求められます。
職務経歴書に記載する薬剤師としてのスキル
- どのような診療科でどのような処方箋を扱ってきたのか
- どのような科目の経験があるのか
- 水剤や散剤のスキル、一包化のスキル、在宅のスキル、OTCのスキルはあるのか
- 保険やレセプト業務はできるのか
- 管理経験はあるのか
薬剤師の職務経歴書の具体的な書き方
要約部分
これまでの経歴やスキルを、簡潔にまとめましょう。
詳しい日時などは次の項目で記載するので、必要はありません。
200~300文字程度でまとめると良いでしょう。
具体例
○○薬局において10年間勤務をした後に、結婚を機に退職をしました。
出産・育児による2年間のブランクを経て、現在求職中です。
在職時は調剤部門に8年間、DI部門に2年間在籍しており、医薬品の知識を身に着けることが出来ました。
経験のある科目は内科、小児科、精神科、整形外科の門前に在籍していましたが、応援の多い企業であったため、幅広い領域の処方箋に触れる機会がありました。
研修認定薬剤師や小児認定薬剤師の資格を取得しております。
職務経歴
具体的な経歴を書いていくようにしましょう。
「勤務先の企業・薬局名」「役職」「在籍期間」「業務内容」「応需科目」「処方箋枚数」などを記載します。
これらを記載するときは、客観的に見たときのわかりやすさを心がけ、できるだけ詳しく書きましょう。
同一の企業に属していても、異動などにより配属される店舗が変わった場合には、複数の科目の経験があることをPRするチャンスなので、記載するようにしましょう。
具体例
○○薬局 一般薬剤師 20××年××月~現在
小児科の門前薬局(60~80枚/日程度応需)において、調剤・監査・服薬指導・薬歴記載 を行っていました。
在宅も数例応需しており、患者様の自宅にてお薬のカレンダーセットなどの業務も、週に2日程度行っていました。
資格
所持している資格を、取得した年月とあわせて記載するようにしましょう。
全く関係のない資格は書く必要はありませんが、PR材料になりそうであれば記載するようにしましょう。
具体例
平成24年6月 自動車運転免許(普通一種) 取得
平成28年3月 薬剤師免許 取得
平成29年9月 研修認定薬剤師 取得
自己PR
職務経歴書において、自己PRは最も大切な項目です。ライバルに最も差を付ける箇所でもありますので、念入りに記載しましょう。
- これまでの経験から私の強みは何なのか
- 応募企業に対してどのような貢献ができるのか
- 今後はどのようなことに挑戦したいのか
という3点を中心に、相手にとって分かりやすい言葉で記載するようにしましょう。
あまり長くなっても分かりにくくなってしまうので、要約と同様に、200~300文字程度でまとめると良いでしょう。
具体例
前職における薬剤師経験10年の中で、幅広い科目の知識や技術を身に着けることが出来ました。
大手企業の中で複数の店舗を経験したことによる、幅広い知識が私の強みであると考えています。
御社が今後目指している在宅医療についても、これまでに得たノウハウを生かし、高齢者に寄り添った医療を提供することで貢献していきたいと考えています。
今後は、医薬品の知識や患者様への折衝能力を高め、経験の少なかったOTCにも挑戦していきたいと考えています。
薬剤師が職務経歴書を記載するときに気を付けるポイント
- 職歴において空白の期間がある場合には、理由を説明できるようにしましょう。
- 相手の欲しがっている人物を想像して、それぞれの薬局や企業に合わせた職務経歴書を作成するようにしましょう。
⇒一般薬剤師を欲しがっている企業に対して、過去の管理薬剤師の経験を過度にアピールすることはNG など。 - 履歴書は手書きの場合も多いですが、職務経歴書はパソコンで作成してもOKです。
- 語尾は“ですます調”に揃えるようにしましょう。
薬剤師の職務経歴書 まとめ
薬剤師の転職においては、勤務の条件(出られる曜日、時間、交通手段、給与)や人柄が重視されているので、書類のウエイトはどうしても低くなってしまいます。職務経歴書の出来が素晴らしかったとしても、その他の条件で不採用となってしまうこともあるでしょう。
しかし、同じような条件の方と競争になった際には、職務経歴書がものを言う場面も出てくるのです。
また、合格が内定している場合にも、職務経歴書が素晴らしければ「是非ともこの人に働いて欲しい」ということで、希望の条件をかなえてもらえることもあるのです。
ぜひとも、“受かる職務経歴書”を作り上げてみてください。
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