薬剤師の転職市場は売り手市場で、面接においても薬剤師側に主導権があることも珍しくはありません。
「受ければ受かる」というイメージをお持ちの方も多いですが、中には倍率の高い人気求人もあるのです。
最終的には経歴よりも「人物評価」によって採用が左右されますが、履歴書・職務経歴書を丁寧に作りこむことで合格の可能性を高めることができるのです。
大手のドラックストアなどでは、書類選考の段階で落とされるということも少なくはないので、重要性は高くなります。
今回は「受かる履歴書」として、盛り込むべき内容や気を付ける点について、ご説明させていただきます。
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薬剤師の転職で履歴書は大切なのか
転職をするにあたって、履歴書はほとんどの場合必要となります。
求人を出した企業や薬局に履歴書や職務経歴書を提出し、求職の意思を伝えることが転職の第一歩となります。
企業にとって社員を採用するということは、今後の会社の進退を決定づける重要なフローであり、採用をすることで年間に数百万円のお給料を対価として支払わなくてはなりません。
そのため、企業はより良い方に働いてほしいと考えるのですが、どんな人であるかを判断するチャンスは限られています。
一般企業の総合職であっても2~3回程度の面接、薬局であれば1回の面接で判断をしなくてはなりません。
30分程度の面接で分かることは限られているので、履歴書を判断の根拠にすることも、珍しくはないのです。
本当に合格したい企業であれば、履歴書のちょっとした工夫などで、一気に優位に立てることでしょう。
薬剤師の履歴書の書き方
履歴書を書くに当たって、丁寧な文字で、楷書で書くことが大原則となります。
使用するペンはボールペンを原則とし、シャープペンシルや消えるペンは用いないようにしましょう。
よって、書き間違えてしまった場合には、初めから書き直さなくてはなりません。
履歴書に手書きは必要か
これは昔から書類の基本とされていますが、実力のある方は「そんなことは薬剤師の能力と関係ない」と思うかもしれません。
事実、昨今ではパソコンで作成した履歴書を使用して良いという企業もあります。
しかしながら、採用を判定するのはある程度役職に就いている年齢の高い方が多いです。これらの方の多くは自筆の履歴書の方を良い評価とする傾向にあるのです。
丁寧な文字、楷書、ボールペン、書き直しという大原則は崩さないほうが、合格により近づくのです。
履歴書は見やすさにこだわる
履歴書と職務経歴書はホスピタリティの精神で、見やすさにこだわるようにしましょう。
空欄のバランスや改行のポイントなど、あらかじめ書く内容のボリュームを考えてから書き始めるようにすると良いでしょう。
薬剤師の受かる履歴書のコツ
履歴書は、生年月日や住所などはフォーマットに指定された通りに書いていけばよいので、そこまで苦労することはありません。
一方で、性格や特技、志望理由については記入欄も広く自由度が高いため、何を書けばよいのかわからないという方が多いです。
つまり、薬剤師の履歴書で最も差がつくのは、これらの性格や特技、志望理由の欄なのです。
このような自由記述の欄を有効活用することで、合格の可能性を高めることができるのです。
薬剤師が履歴書で見られるところ
では、どのような内容を盛り込めばよいのでしょうか?
履歴書に盛り込むこととしては、相手が聞きたいと考える内容を逆算して書くようにしましょう。
面接官は、住所や通勤方法、希望給与以外に、
- 常識があるかどうか
- コミュニケーション能力の有無
- 調剤のスキルはどのレベルなのか
- どのような薬剤師を目指しているのか
- この薬局でうまくやっていけるのか
- 患者さんに対してうまく接することができるのか
などを履歴書から判断しようとするのです。
これらの参考となるエピソードを盛り込んでおくことで、初対面であっても自身がどのような人物であるかを伝えることができるのです。
薬剤師が履歴書で差別化を図るポイント
差別化のポイントとして、『採用企業の企業理念』について触れるようにしましょう。
企業は会社の目的や方針を掲げた『企業理念』というものを大切にしています。
薬剤師の転職活動でここまで気にできている方は少ないです。
是非ともアピールをするようにしましょう。
履歴書のネガティブな確認項目
常識があるかどうかを判断するために次のポイントも確認されてきます。
- 言葉遣いや丁寧語・謙譲語などが間違っていないかどうか
- 訂正や修正が多い履歴書でないかどうか
- 履歴書にふさわしくない内容が記載されていないかどうか(趣味はゲームセンター、パチンコなど)
このような履歴書にならないように注意しましょう。
薬剤師の履歴書の記載例
前述の内容を踏まえて、具体的な記載例を挙げていきます。
コミュニケーション能力の有無
「人と接することが好きなので、休みの日は社会人サークルでテニスをしています。
同世代だけではなく、様々な年代の方々と交流できるのでとても刺激になっており、普段の投薬業務にも生かせています。」
調剤のスキルはどのレベルなのか
「5年間調剤薬局で勤務しており、循環器、糖尿病内科、小児科、外科、整形外科、眼科の経験があります。
内科を中心に調剤をしている御社の○○店舗様はもちろんのこと、眼科の処方箋を応需する△△店や整形外科の□□店においても、力を発揮できると考えています。」
どのような薬剤師を目指しているのか
「今後の薬剤師のキャリアプランを考えて、在宅医療に挑戦したいと考えています。
在宅に力を入れている御社の理念に共感して、志望いたしました。」
この薬局でうまくやっていけるのか
「趣味が豊富であることが特技であり、様々な方と接することが好きな性格です。
以前の職場でもムードメーカーと言われることが多く、薬局の人間関係が良いことが患者様の居心地にもつながると考えています。」
患者さんに対してうまく接することができるのか
子供が好きな性格なので、小児科で勤務したいと考えていました。
大学では生理学の研究室に所属しており、女性ホルモンについての研究をしていました。婦人科の門前である貴薬局において、経験を生かした服薬指導をしていきたいと考えております。
『企業理念』について
薬剤師として今後は処方箋医薬品だけでなく、予防の段階から患者様に接していかなくてはならないと考えています。
セルフメディケーションに力を入れており、「患者様の生活に寄り添って」という企業理念を掲げている御社で働きたいと考えて、志望致しました。
面接に繋がる薬剤師の履歴書の書き方
薬剤師の面接は雑談が中心となることが多いため、履歴書に雑談の際に話題となるキーワードを盛り込んでおくと良いでしょう。
NG例:「趣味は読書と音楽鑑賞」と記載してあった場合
どういった本を読むのですか?
○○です。。。
このように、会話が続きにくい可能性があります。
OK例:「趣味は温泉巡り、スノーボード、ドライブ、よさこい」と書いてあった場合
- 温泉はどこが良かったですか?
- スノーボード、この薬局のスタッフにも好きな人いるんですよ。
- 車がお好きなんですか?
- よさこいってどんなことをするんですか?
このように、会話の引き出しとすることができます。
薬剤師の履歴書を通じて採用企業に伝わること
前述の内容を履歴書に盛り込むことで、次の情報を伝えることができます。
- 一般常識を持っていること
- 薬剤師としてのスキルが問題ないこと
- 自分たちの薬局に対して適した人材であること
- 良い人間関係を築いていける人柄であること
また、これらにとどまらず、医療従事者にとって最も大切な「相手の立場に立って物事を考えることができる人物である」ということを伝えることができるのです。
薬剤師が履歴書を書くときに気を付けること
履歴書を書く際には、次のポイントを気を付けましょう。
気を付けるポイント
- 言葉遣いは「ですます調」で統一するようにしましょう。
- 写真については、スーツ着用で撮影したものを原則として、身だしなみにも気を付けましょう。
- 西暦や和暦などの元号を書くときは、履歴書のフォーマットを参考に、どちらかに統一をするようにしましょう。
- 住所欄のマンション名は省略をせず、きちんと記載しましょう。
- 過激な内容や政治的な思想・活動については、記載しない方が無難です。
転職成功者の履歴書の実例をみる
ドラッグストアへ転職をしたAさん
私はドラッグストアへの転職だったので倍率は高く、履歴書と職務経歴書も重要ではないかと考えました。
その中でも、「なぜ調剤薬局からドラックストアへ転職をしたいのか?」ということを理解してもらえるように心がけました。
調剤からドラックストアへ転職をする場合、業務内容の違いに戸惑って離職する方が多いと聞いたことがありました。
「ドラッグストアの仕事がしたい」ということを、アピールしなくてはならないと考えたのです。
「これまでの調剤薬局ではOTCの販売に携わることができませんでした。以前からOTCに興味があり、予防の段階から患者様をサポートできる仕事がしたいと考えたので、御社を志望しました。」
と、OTCへの意気込みをアピールするようにしました。
また、履歴書で不備がないように、失敗した際には書き直しをして、丁寧に履歴書を作成しました。
調剤薬局へ転職をしたBさん
私は大手のドラックストアから、小規模チェーンの調剤薬局へと転職をしました。
事前にコンサルタントの方から、異動のない店舗で、人間関係の良い薬局あると聞いていたので、人柄の良さが重視されるのではないかと考えました。
薬局のスタッフの年齢層は40~60歳で、私は30代後半でしたので、年が離れたスタッフとも仲良くできるということをアピールしようと考えました。
「幅広い年齢の方と関わることが好きで、趣味のゴルフでは年上の方からいろいろとアドバイスを受けながら挑戦をしています。
現職の薬局では年上の方が来局されますが、趣味を生かしてうまくコミュニケーションをとることが出来ています。」
と、年上の方とのコミュニケーションがとれることをアピールしました。
調剤のスキルはキャリアもある程度あったので、調剤歴について軽く書いただけで大きくは触れませんでした。
面接の際に口頭で調剤スキルについての質問があり、そこで「まぁ直近も調剤やっているから問題ないですよね。」と言われました。
趣味についての記載
趣味についても、自分の趣味を複数書くことで、話題にしてもらおうと考えました。
「料理、スポーツ観戦、ドライブ、パデル」など複数の趣味を書いたところ、面接官の方もサッカーが大好きで、フットサルを毎週しているということで意気投合することが出来ました。
「パデル」と記載したことで、
パデルって何なんですか?
今流行している、室内のテニスのようなものなのです。壁を使うことができるのが特徴で、駆け引きがあって面白いスポーツなのです。
ラケットも大きいので、初めての方でも楽しくできるみたいですよ。
と、会話に繋げることができました。
薬剤師にとって説明(=服薬指導)の技術は必要不可欠であるので、相手にうまく説明をする技術をPRしたつもりです。
その後は、しばらく趣味の話で盛り上がった後に、終始和やかなムードで面接を終えることが出来ました。
薬剤師の転職履歴書|まとめ
薬剤師の転職については、「履歴書はどんなものでも合格する」と考える方も少なくはありません。
実際に、薬剤師が不足している企業では履歴書の出来が悪かったとしても、人員を増やすために採用するというケースもあります。
一方で、どんなに履歴書が素晴らしい方でも、曜日や時間、家族構成(小さいお子様がいるなど)によっては、不合格となってしまう場合もあります。
しかしながら、限られた枠の中でライバルと競わなくてはならない場合には、履歴書の完成度は重要な要素となるのです。
履歴書や職務経歴書などの応募書類は、一度まとめてしまえば基本的な部分は他の薬局にも使いまわせるので、今後の薬剤師のキャリアにも役立つことでしょう。
是非、自分だけの「受かる履歴書」を作り上げてみてください。
履歴書作成に悩んだら
経験豊富な転職サイトのエージェントであれば、その企業にあった履歴書の書き方を指導してくれます。
悩んだときは、転職サイトのエージェントに相談してみましょう。
履歴書の書き方だけではなく、転職に伴う様々な手続きまで細かく教えてくれますし、給与交渉など様々なバックアップを受けることができるのです。
薬剤師の転職サイトは、保有する求人数やサービス内容に違い・特色があります。
これらを比較・検討することで、ご自身に合ったピッタリの転職サイトを見つけることができるでしょう。
- 直接会って面談したかったけど、電話応対しかしてくれないエージェントだった
- ドラッグストアの求人を探していたのに、調剤薬局の求人以外はほとんど取り扱っていない転職サイトだった
このようなことがないよう、各転職サイトの特徴は、登録前に事前確認しておきましょう。
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