薬剤師の転職で職場見学って必要?めんどくさくない?
職場見学はどこを注意して見ればいいのかよくわからない。
転職に不慣れな方は、職場見学をしたほうがいいといわれても、その重要性や見るべきポイントがよくわからないですよね。
本稿の筆者は職場見学を行ってから転職をしたおかげで、満足できる職場に転職することができました。
転職活動の中では、採用担当者が現場のことをよくわかっておらず、見学した際には「あれ、聞いていたことと違う」ということもありました。
処方せん枚数、聞いてたのと全然違う!
働き出してからのミスマッチを防ぐためにも、職場見学は必要だと痛感した次第です。
今回は筆者の経験を元に、薬剤師が転職前の職場見学でわかることと確認したいポイントをわかりやすくご説明します。
この記事を読むことで、職場見学で注意して見るポイントを理解し、転職の失敗を防ぐことができるはずです。
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薬剤師の転職前に職場見学が大切な理由
薬局の業務内容や雰囲気、人間関係はそれぞれの薬局ごとに異なるので、職場見学は非常に大切です。
あらかじめ薬局の良い点・悪い点が分かった上での転職であれば、「こんなはずじゃなかった」という最悪の事態は防ぐことができるでしょう。
ミスマッチが起こってしまうと、働く側である薬剤師はもちろんのこと、薬局や患者様に対しても迷惑がかかってしまいます。
働く本人と雇い手の薬局、そして患者様のためにも、職場見学を検討すると良いでしょう。
また、転職前に職場見学を行うことで、事前に聞いていた話と違うという出来事を回避することもできます。
これについては筆者の実体験を元に説明します。
筆者が職場見学してよかったと思った出来事
冒頭でも簡単に触れましたが、薬剤師の職場では、採用担当者が現場をよくわかっていないことも多いです。
『残業が少なく、就業時間が夜遅くにならない店舗』と求人紹介を受けたので、面接後に職場見学することに。
しかし実際に店舗を見学してみると、午前中だけで100枚以上の処方せん。対して常勤薬剤師は2名。
どう考えても『大量の処方せんを捌くことに精一杯の環境』でした。
午後から別の薬剤師が来る予定もなく、見学時だけ薬剤師が不足している感じではありませんでした。
次に薬歴(電子薬歴)に目をうつすと、個人個人の棚に大量の薬歴が。
終了時間が早くても、薬歴残業しなければならない環境です。
そこで転職エージェントの方からこのように質問してくれました。
終了時間が早い店舗と伺っていますが、他の店舗と比較して残業時間は少ない方なんでしょうか?
すると採用担当者は「私もそう感じて、こちらの店舗を紹介させて頂いたのですが、実際の現場は違いましたね」と苦笑い。
結局この店舗では『現場把握ができてない採用担当者による、急な退職者の欠員補充』だったということが後からわかりました。
面接の結果は合格でしたが、もちろんお断りすることにしました。
薬剤師が転職前に職場見学することで把握できること
薬剤師の職場見学によってわかることには、下記のようなものが挙げられます。
職場見学でわかること
- 応需科目や取り扱い医薬品
- 処方箋の内容や重さ
- 患者様の様子や年齢層
- 人員体制やシフト
- 調剤の流れや監査のシステム
- 職場の雰囲気や勤務の様子(どのように働いているか)
これらは実際に現場を見ないと分からないものであり、採用担当者との会話だけでは判断がつきません。
対応いただけるのであれば、積極的に職場見学を希望しましょう。
薬剤師が職場見学で確認しておきたい9つのポイント
薬局の雰囲気や仕事の流れ、取り扱い医薬品の種類については、特に注意しなくても把握できるでしょう。
ここでは、職場見学で注意して確認しておきたい点をご説明させていただきます。
職場見学で確認しておきたい9つのポイント
- 店舗の薬局長、管理薬剤師の人柄や考え
- スタッフの構成、人数、性別、年齢など
- 処方箋の応需枚数や、処方元医療機関の概要
- お盆休みや年末休みのとり方
- 患者様への接し方、服薬指導の様子
- 薬歴記載の方法、取り組み
- 在宅の実績、取り組み
- レセコンの機種、什器
- 調剤室や待合室の構造、休憩室の様子
1店舗の薬局長、管理薬剤師の人柄や考え
調剤薬局やドラックストアでは、店舗の管理者の人柄や考え方によって、職場の環境が左右されます。
実際にお話を聞くことで、これらを確認するようにしましょう。
2スタッフの構成、人数、性別、年齢など
スタッフの構成や人数を確認することで、人間関係のヒントを得ることができる場合があります。
さらに、年の近いスタッフがいる、お局さんとなりそうなスタッフがいるなどについても、チェックできると良いでしょう。
3処方箋の応需枚数や、処方元医療機関の概要
処方箋の枚数と薬剤師の人数を確認することで、仕事の忙しさが読み取れます。
処方元医療機関によっては季節性があるものや、営業時間が大変な場合もあり、薬剤師の働き方に関わってきます。
4お盆休みや年末休みのとり方
お盆休みや年末休みは、処方元の医療機関に依存することがほとんどです。
お休みをしっかりと確保できている薬局かどうか、見極めるようにしましょう。
5患者様への接し方、服薬指導の様子
患者様への対応が悪い薬局や、さばくように対応している薬局では、業務が忙しい傾向にあるので注意が必要です。
服薬指導を丁寧に行っている薬局では、薬剤師の業務バランスが良いと考えられます。
6薬歴記載の方法、取り組み
薬歴記載をどのように行っているかは、ポイントの一つです。
業務が忙しい薬局では薬歴をためてしまい、残業をしてまとめて書くというケースもあります。
薬歴を効率的にこなせていない薬局では、肉体的にもきつくなってしまうでしょう。
7在宅の実績、取り組み
一包化をいつ作っているのか、何人・何施設くらい持っているのか、誰がどのように担当しているのか確認するようにしましょう。
在宅は今後の薬局において避けては通れない業務の一つです。しかし、担当者などをしっかりと定めて効率的に行っていない場合では、働く薬剤師の負担になりかねません。
詳しくは、こちらの「施設調剤と薬剤師の残業時間の関係について」をご参照ください。
8レセコンの機種、什器
レセコンの機種や分包機や軟膏練り機などの什器を確認することも、重要なポイントです。
特にこだわりが無い場合には問題ありませんが、中には「使ったことの無い機械だからやっていけない」というミスマッチで退職が起こるケースもあります。
注意をするようにしましょう。
9調剤室や待合室の構造、休憩室の様子
薬局の広さや構造設備の体制は、薬剤師の働きやすさに直結します。
調剤室が働きやすく、休憩室がくつろげるような薬局であれば、働きやすい職場であるといえるでしょう。
こちらの「人間関係で転職する薬剤師。後悔しない転職先の探し方を教えます!」でもご紹介していますが、休憩室にお菓子が置いてあるような薬局では、人間関係が良いケースが良いことが多いと言われています。
薬剤師が転職前に職場見学をするときの注意点
このように転職の前に職場見学を行うメリットは非常に大きく、転職のミスマッチを防ぐためには、極めて有効な手段であることがわかっていただけたでしょうか。
しかし、職場見学では求職者が気をつけておきたいポイントがあります。
転職前の職場見学を考えている薬剤師の方は、次の3点に気をつけるようにしてください。
職場見学は相手の事情に配慮して行う
職場見学は、あくまで薬局側のご厚意のもとで行うこととなります。
求人を出している時期は繁忙期である場合も多く、見学に前向きでない可能性もゼロではありません。
迷惑にならない範囲で、「職場見学をさせていただく」というスタンスで臨むようにしましょう。
職場見学によって、自分も見られている
職場見学を行うことで、薬剤師側は薬局の情報を得ることが出来ます。
しかし、裏を返せば職場見学は、薬局側が薬剤師の情報を得る機会でもあるのです。
失礼なことをして相手の心証を害してしまうと、『本来出たはずの内定が出なくなってしまう』ということも考えられます。
服装や言葉遣いなど、マナーには十分に気を付けるようにしましょう。
挨拶・身だしなみをしっかりする
職場見学において過度にアピールをする必要はありませんが、挨拶がしっかりとできる方は、良い印象を与えやすいといえます。
管理薬剤師や採用担当者だけでなく、その場のスタッフ全員にしっかりと挨拶をすることがポイントです。
身だしなみにも気を付けなくてはなりません。
男性であればスーツにネクタイ、女性であればビジネスカジュアルやスーツで臨むようにしましょう。
職場見学は面接動向とセットで申し込む
職場見学は面接のあとに行われることが多いです。
転職サイトを利用すれば、エージェントが職場見学をセッティングしてくれます。
面接同行サービスを行ってくれる転職サイトであれば、エージェントが面接後の職場見学にも付き添ってくれます。
求職者が聞きにくいことを代わりに質問してくれたりもします。
冒頭で紹介した私の事例でも、エージェントが私の代わりに聞きにくいことを聞いてくれたので、大変助かりました。
職場見学後に、エージェントと見学した感想について意見交換できるのもよかったです。
どの転職サイトが面接同行を行っているかについては、こちらの「【プロが選ぶ】薬剤師転職サイトランキング2020|エージェントが業界内の評判を元に徹底比較!」をご覧ください。
転職エージェント2人による、転職サイトの解説です。
まとめ
薬剤師が転職前に職場見学を行うことのメリット、注意点をまとめると次の3点になります。
- 職場見学は転職のミスマッチを無くすために非常に有効な手段
- 薬局の体制や人間関係を中心に、様々な項目をチェック
- 薬局側から評価をされることもあるので、見られているという意識を持つこと
薬剤師が転職に失敗しないために「職場見学」は非常に有効な方法です。
可能であれば、積極的にお願いするようにして、転職の成功につなげるようにしましょう。
転職エージェントを利用すれば、面接後に職場見学をできるようセッティングしてくれますよ。
職場見学は面接同行とセットで行うことで、より効果を発揮します。
薬剤師転職の面接同行サービスについて知りたい方はこちらの記事も参考にしてください。

ヤス

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