社会人として働いていると、誰もが一度は転職を考えるもの。
時には、新卒で入社した会社が自分に合わずに、1年目から転職をしたいと考えることもあるでしょう。
しかし、「1年目から転職するのはマズい」、「どんな仕事でも転職は3年勤めてから」という意見も多い一方で、「薬剤師であれば問題ない」という意見もあり、何が本当かわかりませんよね。
そこで今回は、1年目で転職を希望する薬剤師Aさんの例を、転職エージェントとの実際のやり取りも交えてご紹介していきます。
忙しい店舗でフォローもなく、1年目で転職したいと考えるように
――Aさんが新卒1年目から転職したいと考えるようになった理由は?
「私は新卒で中規模の調剤チェーンに入社したのですが、忙しい店舗に配属され、何も教えてもらえないまま日々の仕事に追われています。
体力的にもきつく、シフト制で土日に出勤することも多いので、辞めたいと思うようになりました。
まわりの同級生はちゃんとした研修を受けて、休みも安定しているみたいなので、今の自分の状況がつらいです。」
「処方箋枚数は1日200枚くらいで、薬剤師は6人体制です。ヘルプも多く、20時まで勤務して夜遅くなることもあります。」
――上司や人事部に改善案を伝えることは出来ないの?
「上司である管理薬剤師はあまり教えてくれるタイプではなく、エリアマネージャーにそのことを伝えたところ、かえって険悪になってしまいました・・・。
フォローアップ研修の際に人事の担当者にもお話しましたが、現場の人に伝えておくということで、こちらもあまり状況は変わっていません。」
「一緒に入社した同期に聞いても、現場次第みたいで、教えてもらっている人とそうでない人がいます。ヘルプ先を見ていても、職場によって差があると感じます。」
エージェントからの解説
Aさんはせっかく薬剤師として社会に出たにもかかわらず、十分な研修が受けられていないことが転職の原因となったようです。
実際に新卒1年目の方の転職サイトへの登録も多く、入社してから3か月くらい経った夏あたりに登録が増えます。「研修をしてもらえない」という転職理由は、かなり耳にします。
そのほかには、「イジメにあった」「通勤が大変」「給料が安すぎる」といったネガティブな転職理由が多いものです。
上司や人事部に伝えることで改善するケースもありますが、やはり忙しい店舗ではOJTの余裕がないこともあり、すべてが解決できるわけではありません。
若手のうちから転職という手段をとる方もいらっしゃるのが現状です。
1年目でも転職は可能だが、オススメはできない
「1年目で転職を考えると、親や大学の就職担当者から、1年目からの転職はNGといわれました。3年働かないうちに転職しても、受け入れ先は無いというのは本当ですか?」
――薬剤師という資格はやはり強いので、1年目であっても転職自体は可能です。
ただし、イメージが良くないことも事実なので、転職先を吟味することやそれなりの理論武装は必要となります。
1年目では自分だけの強みもまだ出てきておらず、転職のノウハウもほとんどないはずなので、転職エージェントの利用を強くオススメします。
「転職先としてオススメのものには、どのようなものがありますか?」
――小規模チェーンや個人薬局では薬剤師の獲得に苦戦していることもあり、転職の成功率は高いといえます。
大手でも募集定員やタイミングによっては、転職が可能となることもあります。
――また、今回のケースのように教育体制や忙しさが問題となるのであれば、大手を選択する方が良いと考えられます。
大手では研修システムもしっかりとしており、薬局数も多いので異動も行いやすいため、薬剤師としてのスキルアップにはつながります。
しかし、また忙しい店舗で苦労する可能性もあるので、中小チェーンでまったりと働く方が良いというケースもあります。その辺りについてはその時に出ている求人をみながらご紹介させていただければと思います。
エージェントからの解説
1年目での転職は、正直なところオススメはしていません。
全く問題ないと言い切るエージェントもいますが、成果報酬のために薬剤師さんのキャリアプランを考えていないケースもあるので、注意が必要です。
2年目や3年目まで我慢することができるのであれば、そのタイミングで転職する方が良いでしょう。しかし、現在の状況があまりに辛すぎる、このままいても自分の成長につながらないというのであれば、その時は転職を考えましょう。
ただし、転職をするからには失敗は許されないので、転職のプロであるエージェントを活用して、自分に合った企業を吟味することを強くオススメします。
1年目の転職理由は正直に
「転職には理由が必要だと思いますが、正直なことを言って良いのですか?コツなどはありますか?」
――あまりに前職の不満ばかりをつらつらと言ってしまうと、「ネガティブな人材」としてみなされてしまい、転職において不利になってしまいます。
しかし、ウソをついて不満を隠してしまうと、「じゃあなんで転職したの?」ということになってしまいます。なので、基本的には正直に話すようにしましょう。
その中でも、「将来の事を考えた際に、今の職場にいることが自身の成長につながらないため」というように、ポジティブな理由に言い換えられればベターです。
――1年目の転職が問題とならないケースもあります。
体調不良での退職(現在は回復している)や、業種転換(薬局から病院)の場合については理由もしっかりとしているので、ありのままを伝えると良いでしょう。
「長所や自己PRはどのように書けばよいですか?」
――1年目で転職をする場合では、薬剤師としての長所をアピールすることは難しいでしょう。そんなときは、性格的な長所をアピールするようにしましょう。
「コツコツと勉強することが得意」、「人に喜んでもらうことがやりがいである」など、自身の長所と思えることを自己PRに盛り込みましょう。
1年目であれば、薬剤師としてのキャリアを求められることはありません。一緒に働きたいと思ってもらえるような、魅力的な人物であることが内定への近道となってきます。
エージェントからの解説
1年目の転職理由は、あれこれとテクニックでごまかすよりは、ある程度正直に伝えた方が良いものです。
特に、次の職場ですぐに転職をしてしまうことは、今後の経歴を考えると絶対に避けるべきです。
転職でミスマッチを起こしてしまうことがないように、正直な理由を伝えましょう。
前職で研修を受けられず、スキルアップが出来なくて困っていることを理解してもらい、「つらかったね、うちで一緒に頑張ろう、きちんと教えてあげるよ。」と言ってもらえるような企業へ転職することが、転職を成功させる秘訣です。
そのためにも、情報確認はとても大事です。
エージェントを上手に活用して、転職先の情報をしっかりと確認し、転職のミスマッチを防ぐことをオススメします。
まとめ
- 1年目でも転職は可能だが、できれば避けるべき
- 将来のキャリアを熟考した上での転職ならOK
- 失敗はできないので、エージェントの利用は必要不可欠
1年目で転職をしようとすると、周囲のほとんどから反対されてしまいます。
薬剤師経験もほとんど無いので不安な気持ちも多く、決断するには非常にエネルギーを使います。
それでも転職を考える方は、よほどの理由を抱えているのではないでしょうか。
転職エージェントが力になれることも多いので、困ったときにはお気軽にご相談いただければ幸いです。

macky

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