一生薬剤師として業務を行うのであれば、病院薬剤師が人気です。
MRやCRAは、1つの医薬品を通じてたくさんの患者さんに貢献することですが、病院薬剤師はよりその専門性を発揮することで、1人の患者さんに貢献することができます。
今はチーム医療が行われており、薬剤師も医療の担い手として認められるようになりました。
薬剤師が患者さんの状態を把握し、医師に対して適切な医薬品の使用を助言したり、変更を提案することができるようになったのです。
そんな病院薬剤師にはどのような業務内容があり、キャリアパスがあるのかについて、現役の病院薬剤師である筆者が説明します。
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病院薬剤師の主な業務内容
調剤薬局は主に処方箋を受けて医薬品を患者さんにお渡しすることがメインの業務となります。
一方、病院薬剤師の場合、入院患者さんに対して調剤は行いますが、外来の患者さんの処方箋は院外に出しており、調剤業務はメインの業務ではなくなっています。
実際に院外処方箋を実施している病院は、平成31年2月時点で75.5%と日本薬剤師会 医薬分業進捗状況(保険調剤の動向)より公表されています。
現在の病院薬剤師のメインの業務は、入院されている患者さんの管理となっており、より患者さんに近い場所で仕事をすることです。
これまで薬剤師は実際に患者さんと接することはほぼなく、医療の担い手としてはあまり認められていませんでしたが、近年このような流れが加速しており、実際の医療現場でのニーズが高まっています。
薬剤師としての高い地位を求めるのであれば、病院薬剤師がおすすめです。
病院薬剤師に必要とされる能力
薬学的専門知識の習得
多岐に渡る医薬品を扱い、医師からの処方箋を吟味し、併用禁忌や投与量不備などあれば医師に疑義照会を行います。
コミュニケーション能力
患者さんありきの処方箋であるため、投薬にあたっては服薬指導するために患者さんのことを聴取し、残薬がないか・副作用がないかなどの確認を行います。
病院薬剤師のキャリアパスがあるか
調剤薬局と同じく、病院薬剤師には勤務薬剤師と管理職の2つのポジションしかありません。
その管理職であるポジションが薬局長や薬剤部長になります。
薬局長ともなれば病院内での地位も高く、医師からもそれなりの敬意をもって遇されます。
男性の場合ですと、結婚などを機に高給を求めて転職することが多いです。
しかし、転職をせずにそのまま病院で研鑽を積み、それなりの年齢になって初めて就くことのできるポジションとなります。
転職に役立つキャリアや資格
認定薬剤師を取得し、その後がん専門薬剤師、感染制御専門薬剤師などの専門薬剤師を取得するとプラスαになります。
また日本糖尿病療養指導士、ケアマネジャー、中医師など医療関係の資格を取得しておくと重宝され、業務の幅が広がります。
ヘッドハンティングについてはあまり聞かれません。
病院薬剤師の給料
給料に関しては、残念ながらそれほど多くを望むことは難しいです。
基本的には年齢給が主体となり年功序列的に昇給します。
役職が上がればそれに伴い昇給しますが、同じ年齢で比較した場合、MRやCRAの方がはるかに高い給料が支給されています。
大学病院や地方にある医療センターやがんセンタークラスの大きな病院で薬剤部長のポジションに就くことができれば、1000万円程度の給料が支給されています。
しかし、45歳以上にならないとこのようなポジションに就くことができませんし、限られた人のみしか就くことができません。
総合的に病院薬剤師を目指す人は、お金は求めておらず、薬剤師としてのやりがいを重視しています。
まとめ
自分自身の提案で患者さんの状態が良くなれば、それを間近で感じる・見ることができれば、大きなやりがいになるのではないでしょうか。
そんな薬剤師としてのやりがいを感じることができるのが病院薬剤師です。
今は薬局で働いているけれども、一度は病院薬剤師として働いてみたい!
そんな方はこちらの「薬剤師の薬局から病院への転職ってあり?経験者はどう感じたのかを解説します」をご覧ください。
実際に薬局から病院に転職した薬剤師の体験がまとめられていますよ。