ママ薬剤師が産休や育休明けに働き方を変えることは、珍しくありません。
とある調査では、およそ6割のママ薬剤師が正社員からパート社員や時短勤務へと、働き方を変えています。
出産前と同じ職場で働き方だけを変える人もいますが、一度仕事を辞めてしまい子育てが落ち着いてから転職する方も多いです。
そこで今回はママ薬剤師の働き方において、正社員とパート社員のどちらが優れているのか、両方のメリットとデメリットから比較して行きます。
今まさに子育てをされている方だけでなく、これからママ薬剤師となる方にもオススメの内容です!
ママ薬剤師が無理なく働ける転職先の見つけ方は、「ママ薬剤師の転職|小1の壁を超えられる転職先の探し方」で解説していますよ。
好きなところから読む(クリック可)
働くママ薬剤師が困っているコト
多くの薬剤師さんは、はじめは正社員として勤務をしています。
しかし、ママ薬剤師となってからも正社員で働いていこうとすると、様々な困りごとが出てきてしまいます。
いくつか、例を挙げていきましょう。
- 勤務時間が長く子育てに時間をかけられない
- 勤務条件が合わなくなる(転勤、勤務時間など)
- 会社の制度が整っていない(産休・育休、時短勤務など)
- 職場の理解が得られない
- 家族の理解が得られない
家庭環境や職場環境により差はありますが、こんな悩みを持つママ薬剤師は多いはず。
正社員でありながら育児を両立するためには、周囲の理解と協力が欠かせないもの。
周囲とは、夫や両親だけでなく、職場や保育園なども含まれます。
家族の協力や職場・保育園の理解がないと、働くママへの負担が大きすぎて仕事と家庭の両立は難しくなってしまいます。
勤務時間や勤務条件などの都合が合わず、出産後の復帰時にはパート求人を選ぶママ薬剤師が多いんですね。
ママ薬剤師がパート社員を選ぶことのメリット・デメリット
育児と正社員の仕事は両立が難しいと感じ、パート社員に切り替え・転職をする方ママ薬剤師は多いです。
正社員からパート薬剤師に変えるメリットは、以下が挙げられます。
ママ薬剤師がパート社員を選ぶことのメリット
- 働く時間や日数をコントロールできる
- 勤務地を固定することで、自宅から近いエリアで働ける
- 雑務や残業など、仕事において求められるものが少なくなる
ママ薬剤師にとって、子育ては何よりも大切な仕事です。
特に一人目の子供が生まれ、子育てに慣れないうちは悩みや苦労が多いもの。
子育ては24時間365日年中無休なので、ワークライフバランスが大切になります。
自分の裁量で働き方を変えられるパート薬剤師だと、フルタイム勤務に比べて子どもや家族に時間や余裕を持って接することができますね。
正社員で働けるけれども、敢えてパートで働いている薬剤師さんの例
都内で働いているママ薬剤師さん(40代前半)は、お子さんも大きくなり、正社員で働くこともできますが、あえてパートとして勤務しているそう。
その理由を伺ってみました。
正社員だと異動がありますし、有給も使いにくい職場です。正社員はカギや電話の当番など雑務や責任も多く大変なのでパートで働いています。
家庭を持つママ薬剤師さんにとって、正社員で働くというのは、やはりデメリットがあるのですね。
なお、このママ薬剤師さんは正社員よりも収入が下がることの対策として、パート勤務にプラスして週1で派遣薬剤師として働くことで収入アップを図っているそうです。
参考記事 薬剤師のダブルワーク、パート+派遣にはどんなメリットが?
私も以前は派遣という働き方を活用していたのですが、新型コロナウイルスの影響で派遣求人が減っており、現在(2020年夏時点)ではあまりオススメできない働き方となってしましました。
ママ薬剤師がパート社員を選ぶデメリット
- 正社員に比べて年収が低い
- 薬剤師としてのキャリアが遅れる不安がある
- パートでも職場の理解が得られないことがある
- パートの仕事内容や生活に慣れると正社員に戻れるのか不安になる
実際にパート社員として勤務している方に、パート勤務で不満や不安に感じることについて教えていただきました。
ここでは、そのインタビュー内容をご紹介します。
正社員に比べて年収が低い
パート社員として働くと、仕事は楽ですが収入が心配です。
子育てで出費は増えていくのに、収入が減ってしまっているので…。
(20代後半 愛知県)
現在の収入も気になりますが、将来の年金が減ると聞いたので、ショックでした。早く復帰したい。
(30代前半 大阪府)
――パートでは体力的には楽ですが、やはり収入が心配なもの。130万円を超えてパートする方法もあるので、詳しくは以下の記事を参考にしてください。
参考記事 パート薬剤師の扶養の壁、高時給な薬剤師が損をしない働き方
薬剤師としてのキャリアに遅れが生じる
新薬の勉強が出来ないので、焦りがでてきた。ネットで勉強しても、実際に調剤しないと身につかない気がする。
(30代前半 埼玉県)
同期が管理薬剤師になったと聞いて、このままパートをしていていいのか心配になった。
(20代後半 兵庫県)
――薬剤師にとってキャリアアップやスキルアップは、生涯の課題ともいえます。当サイトでもキャリアアップやスキルアップの記事をご紹介しているので、参考にしてください。
参考記事 薬剤師のスキルアップ方法について~今後も生き残れる薬剤師とは~
パートでも職場の理解が得られないことがある
いつも午後のピーク前に帰っているので、あとで悪口をいわれている気がする。
(30代後半 東京都)
時短勤務は問題ないが、急なお迎えやお休みには、露骨にいやな顔をされる。
(30代前半 神奈川県)
――ママ業と薬剤師を両立するためにパートにしたのに、ママ薬剤師に理解がない求人に当たってしまうリスクも。
同じ境遇のママ薬剤師が多くいる職場など、働きやすい職場を選ぶようにしましょう。コンサルタントに相談するのもオススメです。
参考記事 元転職エージェントがおすすめする、薬剤師の転職サイト10社の徹底比較ランキング!
パートの仕事内容や生活に慣れると正社員に戻れるのか不安になる
今が週2勤務なので、フルタイムに戻れる自信が無い。
(30代前半 北海道)
まだまだ子どもにも手がかかるので、正社員だとちゃんと育児ができるか心配。
(30代前半 山口県)
――子育てしながら正社員への復帰は、なかなかハードルが高いこともあります。
そんなときは、正社員で時短勤務ができる職場を検討してみてはいかがでしょうか。
パートなら家庭と仕事の両立はしやすくなりますが、収入減少やキャリアが気になることも。
希望年収がある方やキャリアアップしたい方は、様々な角度から働き方を検討したいですね。
ママ薬剤師が正社員を続けることのメリット
フルタイム勤務と子育ての両立は大変なのでパートを選ぶママ薬剤師が大半ですが、正社員を続けているママ薬剤師もいますよね。
大変な生活をしながらも正社員として働き続けることのメリットには、以下があります。
ママ薬剤師が正社員として働き続けることのメリット
- 収入を維持できる
- キャリアアップがしやすい
- 自然とスキルアップできる
- 福利厚生や将来の年金で有利
詳しく見て行きましょう。
収入を維持できる
正社員で働く最大のメリットは、金銭面です。
これから育児にかかる費用を考えれば、先立つものは大切。
政府の統計(「平成29年賃金構造基本統計調査」における「短時間労働者の職種別1時間当たり所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額」)によると、正社員の薬剤師の平均年収は543.8万円です。
パートの平均年収は230.5万円なので、実に2倍以上の開きがあるのです。
仮に、パートの平均時給である2390円で1日8時間、週5日で1年間フルタイムで働いたとしても年収は497.1万円となり、正社員の平均年収にはとどきません。
さらに将来的には退職金や年金も上乗せされるので、より豊かな将来設計ができるでしょう。
キャリアアップに有利
薬局によっては、正社員の時短勤務で働きながら管理薬剤師や薬局長を目指せる職場もあります。
社員として働き続けることで、時短勤務終了後に一気に出世できるなんてことも。
例えばくるみ薬局・きららみらい薬局は、女性比率が高く女性がキャリアアップしやすい環境です。
関西は女性社長の薬局が多く、阪神調剤薬局やフタツカ薬局など、女性の活躍を応援している企業が多いですね。
出産育児を経てもキャリアアップできる職場へ転職した方の体験談は、「転職エージェントが語る転職に成功する薬剤師と失敗する薬剤師の違い」で紹介しています。
自然とスキルアップできる
正社員であれば様々な研修を受けられますし、正社員として働いているだけでもスキルアップが可能です。
ブランクを作らないので、勉強のし直しやスキルを取り戻すのに時間を割く必要もありません。
福利厚生や将来の年金で有利
けがや病気の際の保障は、正社員に勝るものはありません。
厚生年金加入期間が長くなり、かつ生涯年収が上がるので、将来もらえる年金もアップ。
少しでも将来に不安を残したくない方は、正社員として働く期間を長くするのが正解です。
正社員として働くことで、現在の収入維持だけではなく将来の年金も高くなります。
ブランクを作りたくない・キャリアやスキルアップしたい方にとっても、正社員のほうが有利ですね。
▼ママ薬剤師向けの求人が豊富な転職サイト▼
\1分で完了!/
マイナビ薬剤師に無料登録する
ママ薬剤師が正社員で働くために必要なコト
金銭面・キャリアやスキルなどにおいて、正社員の方が有利なのは間違いありません。
ただ家庭環境や保育園の状況などにより、働きたくても正社員で働けないというママ薬剤師も。
ママ薬剤師が正社員として働くために、必要なことや押さえておきたいポイントをお伝えします。
家族の協力を得る
実家が近い方や旦那さんの帰宅が早い方など、家族が子育てに参加できる環境であれば、ママ薬剤師でも正社員で働きやすくなります。
まずは家族に正社員で働くことを理解してもらい、家族全員で協力して子育てに臨める体制を整えたいですね。
間違っても「自分が家事も子育ても頑張れば大丈夫!」とは思わないようにしましょう。
どこかで無理が出て身体を壊してしまいますよ。
子育て支援をしている企業を選ぶ
企業が子育てに対して理解をしてくれていれば、出産後も正社員のまま働く薬剤師が多いもの。
働こうと考えている求人先が、どの程度子育て支援に取り組んでいるかをチェックしておきたいですね。
子育てサポート企業として基準を満たした企業に与えられる、「くるみんマーク」を取得していることも、1つの目安になります。
例えばアイン薬局やスギ薬局が、くるみんマークを取得していますね。
まだ取得企業は少ないですが、今後増えていくものと考えられます。
ドラッグストアなど時短勤務を中学生までとしている企業も、正社員とママ業の両立がしやすい環境ですよ。
自治体の子育て支援を利用する
近ごろでは、子育て支援に力を入れている自治体も増えています。
トワイライトステイなど、遅くまで子どもをみてくれる地域もあるので、うまく活用しましょう。
参考 東京都中央区ホームページ
ママ薬剤師が働きやすい求人を選ぶ
時短勤務を長く利用できること以外にも、子供の体調不良で急に休みが欲しいときに対応してくれる職場を選ぶことも大切です。
応援人員をもらいやすいチェーン店や、元々人員配置に余裕がある店舗がオススメです。
自分以外にママ薬剤師がいる職場も、周囲の理解が得られやすいので良いですね。
企業のDI業務などは残業が少なく土日祝日も休みなので、正社員でもママ薬剤師が働きやすい環境ですよ。
ママ薬剤師が企業のDI(学術職)で働くことについては、こちらの記事で詳しくご紹介しています。
参考記事 ママ薬剤師の正社員の転職先としてDI職がオススメな理由
子育て支援に力を入れている企業・ママ薬剤師に理解がある職場探しは、転職コンサルタントに探してもらうと簡単ですよ。
▼ママ薬剤師向けの求人が豊富な転職サイト▼
\1分で完了!/
マイナビ薬剤師に無料登録する
ママ薬剤師の働き方|まとめ
- パート社員は柔軟な働き方ができて子育てと両立しやすい
- 正社員は給与面やスキルアップ・キャリアアップにおいて有利
- 正社員ママ薬剤師を目指すなら、環境を整えた上でママ薬剤師に優しい求人を探すことが大切
正社員vsパート社員の結果としては、それぞれに長所と短所がありました。
薬剤師としての人生や年収だけを考えれば、正社員として働く方が有利と言えます。
しかし、「子育てに時間をかけたい!」という気持ちもあり、判断が難しいというママも多いもの。
薬剤師としてのキャリアだけでなく、家族との過ごし方も考えて、働き方を選択したいですね。
もちろん子育てが落ち着いてから正社員に復帰するのも、全然アリですよ。
ママ薬剤師の転職先選びは、早くから『小1の壁』を想定することも大切。
無理せず長く働ける職場を探すために、「ママ薬剤師の転職|小1の壁を超えられる転職先の探し方」も参考にしてくださいね。
ママ薬剤師にオススメの転職サイト
働き方に迷うママ薬剤師さんは、経験豊富な転職エージェントに相談するのもオススメです。
ただし、利用する転職サイト選びは慎重にしたいところ。
薬剤師向け転職サイトは数多くあり、年収アップが得意な転職サイト、ワークライフバランス重視で交渉してくれる転職サイト、大手企業を中心に紹介する転職サイトなど、各社それぞれ特徴があります。
ママ薬剤師にオススメなのはもちろん、ワークライフバランス重視で交渉してくれる転職サイトです。
間違っても年収アップ重視の転職サイトに登録して、「この条件を妥協してもらえば年収○○万円アップできますよ!」などと交渉されても困っちゃいますもんね…
そんなママ薬剤師にイチオシなのは次の2社です!
労働条件を企業に細かく交渉してくれるマイナビ薬剤師と、女性エージェントの多い薬剤師転職ドットコム。
ママ薬剤師にベストな働き方を提案してもらえるはずですよ!
オススメ1 マイナビ薬剤師
マイナビ薬剤師は薬剤師の働きやすさを重視してくれるので、労働条件の改善はしつこいほど交渉してくれます。
親会社が大手人材関連企業なので、大手企業との繋がりが太く掲載求人数も多いですが、20~40店舗の中堅チェーンや個人薬局にもシッカリ営業しているので、幅広いジャンルの求人があります。
多くの求人の中からママ薬剤師にピッタリの職場を見つけ出し、働きやすい労働条件を勝ち取ってくれますよ。
\1分で登録完了/
マイナビ薬剤師に無料登録する
※マイナビ薬剤師の詳細は「マイナビ薬剤師の評判・特徴を転職エージェント2人が赤裸々に暴露!」の記事で解説しています。
オススメ2 薬剤師転職ドットコム
薬剤師転職ドットコムは女性の転職エージェントが多く、気さくで話しやすい方が多い印象。
女性薬剤師は自動的に、女性エージェントに割り振られることが多いんです。
働くママ薬剤師にとって話しやすくて相談しやすい、強い味方になってくれますよ。
パートや派遣求人も多く取り扱っているので、いろいろな働き方に柔軟に対応してもらえます。
\1分で登録完了/
薬剤師転職ドットコムに無料登録する
※薬剤師転職ドットコムの詳細は「薬剤師転職ドットコムの評判・特徴を転職エージェント2人が赤裸々に暴露!」の記事で解説しています。

三上小夜香

最新記事 by 三上小夜香 (全て見る)
- 【薬局設備】最新の自動ピッキングシステム3機種を口コミ付きで紹介! - 2021年4月13日
- アフターピル(緊急避妊薬)の市販化は何が不安?【女性100人にアンケート】 - 2021年2月19日
- 面倒なく薬剤師転職サイトを複数利用するコツ - 2021年1月14日