薬剤師の対人業務が重視される中、資格取得を考える薬剤師が増えています。
認定薬剤師や専門薬剤師は当然として、薬剤師関連以外の資格への注目度もアップ。
視野や知識が広がると、服薬指導の幅も広がりますね。
そこで今回は薬に頼らないケアができる資格、メディカルアロマセラピストについて紹介します。
資格の活用方法や取得方法を、実際に資格を取得した薬剤師・看護師の声を元にお伝えしますね。
服薬指導やドラッグストアでの案内の幅を広げたい薬剤師は、注目の資格ですよ!
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メディカルアロマセラピストとは?
メディカルアロマセラピストとは、メディカルアロマの正しい知識や技術を元に、症状に合った精油を選んだり施術を行う専門家のことです。
資格所持者はエステサロンはもちろんのこと、病院や福祉施設で技術者として働くことができます。
メディカルアロマセラピーでは、香りが脳に伝わりそこから心に作用する仕組みを活用しています。
そのプロセスは科学的にも解明されてきており、香りの癒し効果と精油成分の薬理作用でさまざまな不調に効果を示すことが期待できます。
心と体のバランスを崩すことで起こる不調。これに対して心身ともにアプローチできる新しいケアテクニックとして注目されているのが、統合医療の考えに基づくメディカルアロマです。引用元:日本統合医学協会
セルフメディケーションが注目される中、薬を使わない選択肢に目を向ける薬剤師も出てきています。
薬剤師でメディカルアロマインストラクター資格を持つYさん
私自身がなかなか寝付けず、体調が悪い日が続いた時期がありました。薬以外で楽になる方法を探していたときに出会ったのがメディカルアロマでした。
看護師など他の医療従事者にも、患者さんの苦痛緩和を目的に資格取得を考える方が増えていますよ。
看護師でメディカルアロマセラピスト資格を持つPさん
リラクゼーション業と看護師を並行する中で、患者様の苦痛の緩和ができればと考え、メディカルアロマの資格を取得しました。
メディカルアロマは代替医療の1つとして、今後さらに注目度が上がると予想されます。
「メディカルアロマ」と「アロマテラピー」の違い
アロマという言葉自体は、私たちの生活にとても身近なものです。
ですが「メディカルアロマ」と「アロマテラピー」では、目的が大きく異なります。
アロマテラピーの目的 | メディカルアロマの目的 |
リラクゼーション。シンプルに心地よい香りを選ぶことが多い。 | 心と身体の不調に対してアプローチ。精油の香り成分が脳に働きかけることを利用し、症状に合った香りを選ぶ。 |
フランスなどアロマテラピーが治療に活用されている地域では、メディカルアロマの精油は医師が処方し、薬剤師が調剤するものです。
フランス人が精油の処方を選択するのは、日本人が西洋医学よりも漢方薬を選択するような位置づけです。
日本で漢方薬を処方できる医師がいるように、フランスには精油を処方できる医師がいます。
日本ではアロマを治療に用いることはできませんが、より健康を意識したアロマテラピーが、メディカルアロマであると言えるでしょう。
薬剤師ならではのメディカルアロマの活用方法とは
日本でも、いくつかの精油は日本薬局方に掲載されていますね。
日本薬局方収載の精油
- ハッカ油
- ケイヒ油
- ユーカリ油 など
薬剤師にとって、意外にも身近な存在の精油。
現場での活用方法についてまとめました。
メディカルアロマは医療に役立つ?
そもそもメディカルアロマテラピストの資格は、医療機関での活用を想定したもの。
実際に多くの医療機関で、メディカルアロマが導入されています。
メディカルアロマが導入されている医療機関の例
内科 / 皮膚科 / 産婦人科 / 歯科 / 整形外科 / 心療内科
心療内科では患者様の心と体の関係、そして生活環境などを含め統合的にみていくのですが、メディカルアロマセラピストも同じ統合医療の視点から疾患を捉えアプローチしていきます。
引用元:日本統合医学協会
メディカルアロマで期待される効果は、痛みや睡眠障害の軽減。
ホルモンバランスの不調や、気持ちの浮き沈みへのアプローチなど多岐に渡ります。
看護師でメディカルアロマセラピスト資格を持つPさん
内科クリニックで、看護師とリラクゼーションの施術を委託で行っています。ハンドマッサージやフットケアでメディカルアロマを使用した施術を7月から行っていく予定です。
頭痛や肩こり、首の痛みで来られる方が多いので、少しでも症状緩和ができればと考えています。
薬だけではフォローできない症例への補助や、薬を増やしたくない患者さんへの代替医療としてメディカルアロマが活用されていますよ。
薬剤師の現場でのメディカルアロマの活用方法
現在日本では、治療としてメディカルアロマを利用することができません。
ですが服薬指導の中で、アドバイスとして活用することは可能ですね。
薬剤師でメディカルアロマインストラクター資格を持つYさん
今後は産婦人科で妊娠中・授乳中で服薬できない方の、体調不良へのサポートを考えています。私も妊娠中に偏頭痛がひどく服薬できずに辛い思いをしました。
また、薬局やドラッグストアで不調の相談を受けたときに、アドバイスができれば選ばれる薬剤師になれるのではないかと思っています。
メディカルアロマセラピストの仕事は、精油による施術だけではありません。
正しい知識から、症状に合った精油を選択するのも大事な仕事。
薬剤師の仕事の中でメディカルアロマセラピストの知識を活かし、患者さんの不調や悩みを軽減できるアロマを案内できたら良いですよね。
アドバイスに基づき、患者さん自身がアロマテラピーを行うだけでも、十分意義があります。
最近では、実際にアロマを取り扱う調剤薬局も増えています。
金子薬局駅前通り店では、「薬に頼らない体づくり」をお客さんに提案しています。販売登録者として店頭に立つ安住さんはアロマセラピストの資格をお持ちで、来店される患者さんの健康相談にのりながら、アロマ関連のアイテムを提案されています。
引用元:SUPER DELIVERY MEDIA
アロマオイルはスーパーデリバリーで1本から購入可能です。
患者さんの求めに応じて、気軽に取り寄せできますよ。
日常生活でのメディカルアロマの活用方法
メディカルアロマの知識は、自分自身や家族の健康維持にも役立ちますよ。
薬剤師でメディカルアロマインストラクター資格を持つYさん
寝付きが悪いときにゼラニウムのアロマスプレーを使うなど、自分の体調改善のために活かしています。同時に学んだメディカルハーブも、体調に合わせて飲用しています。
あとは、家族や友人から相談を受けたときにアドバイスをします。
本業とは別に、副業としてメディカルアロマセラピスト資格を活用している方も。
看護師でメディカルアロマセラピスト資格を持つPさん
リラクゼーション業のサロンでもメディカルアロマの知識を活かし、状態にあった精油を選び提案することができてます。
また、半身麻痺の方のアロマトリートメントを在宅で個人的に頼まれ、家族と本人の同意のもと施術を行っています。
アロマの知識があると、健康維持のための選択肢が広がりますね。
メディカルアロマセラピストの資格取得の方法。薬剤師なら簡単に取得できる!?
メディカルアロマセラピストの資格は、国家資格ではありません。
様々な団体が、独自に認定している資格です。
代表的なメディカルアロマセラピスト資格の、取得方法について紹介します。
薬剤師は一部講座の受講が免除となったり、基礎的な化学の知識があるため資格取得しやすいですよ!
日本統合医学協会認定 メディカルアロマセラピスト
アロマを医療的な視点で捉え、医療機関で活用できるトリートメント技術と知識の習得を証明する資格です。
認定校にて全48講座を受講し、試験に合格すると取得できます。
医師・看護師・薬剤師・介護士は、一部免除となる受講項目があります。
認定校JOTメディカルアロマカレッジを受講したPさん
精油の成分をしっかり知ることで、今までは香りで選んでいた精油を体の状態に合わせて選ぶことができるようになりました。
知識だけではなく、技術面でも1人1人丁寧に教えてくれます。
取得期間の目安は約4ヵ月。
JOTメディカルアロマカレッジでの費用は税込264,000円です。
(教科書・実習材料・資格認定費込み)
メディカルアロマセラピスト講座の公式サイト:
https://medical-aroma.jp/shikaku1.html
IFA認定 国際アロマセラピスト資格
本格的にアロマを学びたい方向けの資格です。
様々な症例を通し、病気とアロマへの理解を深めた上で、より実践的なスキルを身に着けたセラピストへ国際基準での認定を行います。
英国IFA認定校にて講座を受講し、試験に合格すると取得できます。
取得期間の目安は、1~2年程度。
認定校の1つであるキャラアロマテラピースクールでの費用は、税込1,056,000円です。
(教材費別途18,000円)
国際アロマセラピスト資格講座の公式サイト:
https://cara-club.com/ifa/
メディカルアロマを手軽に。オンライン受講で取得できる日本統合医学協会認定メディカルアロマインストラクター
メディカルアロマセラピストの資格取得は、費用・時間共に負担が大きいものです。
薬剤師の仕事をしながら、取得するのは大変ですよね。
メディカルアロマに興味があるけど、薬剤師業務に差支えない程度で学びたいという方には、メディカルアロマインストラクター資格がオススメです。
完全オンラインのeラーニングシステムで、全113講座を受講。
試験もオンラインで受講できます。
オンライン講座でメディカルアロマインストラクターを取得したYさん
教材がテキストと動画なので、自分のペースで無理なく資格を取得できるのが魅力的です。一方、実技講習がないので、実際にセラピストとして手を動かす感覚は学べません。
動画の内容は濃く、精油のことのみならず、基礎医学、心理学、カウンセリング、メディカルハーブなど多くの事を学ぶことができました。
薬剤師であることで、アロマセラピーのメカニズムや精油の化学、基礎医学は頭に入りやすかったです。
取得期間の目安は、1~3ヵ月程度。
働きながらでも、休みの日に3時間ほど受講すれば1ヵ月前後で取得できます。
受講費は税込み88,000円です。
(教材・eラーニング講座含む)
現在期間限定で受講費が35,200円引きの、税込み52,800円となっています!
新しく資格や知識を得たい方にはチャンスですね。
メディカルアロマインストラクター資格講座の公式サイト:
https://medical-aroma.jp/kentei
まとめ
メディカルアロマセラピストは、アロマの知識を人々の不調の改善や健康維持に役立てる資格です。
健康意識が高まる中で、薬に頼らない選択肢の1つとして今後さらに注目されそうですね。
服薬指導の中でアロマのアドバイスができると、患者さんの健康維持や症状の緩和に役立つでしょう。
まずはアロマの基礎的な知識を得たいという方は、メディカルアロマ検定からチャレンジするのがオススメですよ。