冬は乾燥の季節。
私も乾燥肌なので、毎年膝の裏が痒くなります…。
また新型コロナウイルスの影響で、手をエタノールで消毒する機会が増えました。
消毒すると手がかなり乾燥しますね。
酷くなると、あかぎれのように…。
皮膚の乾燥に対しては、保湿剤を使うのが大事です。
ここでは私がオススメする保湿剤を、薬剤師目線からご紹介します。
今回ご紹介する保湿剤成分は、以下の5つ。
- ヘパリン類似物質
- ワセリン
- セラミド
- 尿素
- セタノール
含有成分ごとに、効果やオススメ商品について解説していきますね。
期待される効果や使用感、コスパなど総合的に判断して、自分にベストな商品を見つけましょう!
三上小夜香
大手調剤薬局に勤務後、転勤族であるMRとの結婚により退職。結婚後はしばらくパートで働き、派遣薬剤師に転向。妊活に専念するため退職し、現在は子育てとライターの兼業中。趣味はゲームとネットサーフィン。
保湿剤成分1 ヘパリン類似物質
体内で合成されるヘパリンという物質に、似た成分です。
期待される効果
- 皮膚の保湿
- 血行促進
- 抗炎症
ヘパリン類似物質がオススメの人
- 保湿しても乾燥しがち
- 乾燥でかぶれやすい
※血行促進作用があるため、しもやけやケロイド改善の効果も期待できます。
ヘパリン類似物質は、病院で処方されるヒルドイドという薬に入ってることで有名ですね。
ハンドクリームや顔の保湿に良いと雑誌などで取り上げられ、病気ではないのに保険で処方する医師が増え社会問題にも…
現在は病気以外で処方してもらうことが難しくなりましが、代わりに市販で購入できるようになりました。
市販品であっても以下で紹介する商品は、医療用と同じ濃度のヘパリン類似物質が配合されています。(0.3%)
医療用より使用感の良いものや、プラスアルファの効果が期待できるものもありますよ!
※ヘパリン類似物質は血小板減少症など血が止まりにくい病気の方や、出血しやすくなる薬を飲んでいる方、妊娠授乳中の方は主治医に相談してから使用してください。
オススメ商品1 ヒルメナイドシリーズ(クリーム、ローション、ローションライト) 第2類医薬品
主な成分
- ヘパリン類似物質
どんな人にオススメ?
- シンプルに保湿をしたい
- 他の保湿剤や薬と重ねて使いたい
マツモトキヨシのPB商品です。
クリーム、ローション、ローションライトの3種類展開。
本家のヒルドイドと主成分・濃度は完全に一緒で、添加物等もかなり近いです。
(特許の関係で、全く同じにはできません)
ヒルドイドと照らし合わせると、こんな感じ。
ヒルドイドソフト軟膏 ヒルメナイドクリーム
ヒルドイドローション ヒルメナイドローション
ビーソフテンローション(※) ヒルメナイドローションライト
※ヒルドイドのジェネリックで人気の化粧水タイプ
使用部位や使用感の好みで使い分けたいですね。
私はコッテリが好きなので、全身クリームです(笑)
※ヒフメイド油性クリームなどヒルドイドソフト軟膏に近い商品は多数ありますが、マツキヨ商品が総合してオトクで商品としても安心です。
オススメ商品2 IHADA(イハダ) ドライキュア乳液 第2類医薬品
主な成分
- ヘパリン類似物質
- ジフェンヒドラミン(痒み止め)
- アラントイン(炎症抑制、傷の修復促進)
- トコフェロール酢酸エステル(血行促進)
どんな人にオススメ?
- 乾燥で痒みがある
- 乾燥して赤くなる
ヒルドイドの成分に、炎症や痒みを押さえる成分が追加された商品です。
全身に使えますが、特に乾燥で頬などに痒みが赤みが出る人にオススメ。
弱酸性で無香料・無着色なので、子どもに使ってもOK。
(生後4週未満の新生児は不可)
ヘパリン類似物質の保湿力は高いので、洗顔後はこれ1本でも十分です。
医薬品成分が入ってますが、毎日使っても問題ないですよ。
(赤みや痒みが引かないなら、皮膚科を受診しましょう)
オススメ商品3 ヘパソフトプラス 第2類医薬品
主な成分
- ヘパリン類似物質
- パンテノール(炎症抑制、傷の修復促進)
- ジフェンヒドラミン(痒み止め)
- クロタミトン※(痒み止め)
※弱いステロイドのオイラックスHに含まれますが、クロタミトン自体はステロイドではありません。
どんな人にオススメ?
- 全身が乾燥して痒い
- 乾燥部位に掻き跡がある
ドライキュア乳液よりも、全身に痒みが出る人向け。
クリームタイプなので、コッテリ系でしっとり。
ヘパリン類似物質には傷跡を治す効果もあるので、掻き跡がある方にも。
痒み止め含有の保湿剤は尿素配合のものも多いですが、人によっては尿素が刺激になりピリピリすることも。
こちらは低刺激で、肌の弱い方でも使いやすいです。
保湿剤成分2 ワセリン
有名な保湿成分の1つですね。
期待される効果
- 皮膚の保湿
- 皮膚の乾燥予防
ワセリンがオススメの人
- 敏感肌
- かぶれがある人
ワセリン以外の保湿剤は皮膚に潤いを与えるもの。モイスチャライザーと呼ばれます。
一方、ワセリンは皮膚が乾燥しないようにフタをするものです。
こちらはエモリエントと呼ばれます。
「原料が石油だからワセリンはダメ!」という方もいますが…
石油ってプランクトンの死骸から出来てるので、天然成分なんですよ。
ワセリンは赤ちゃんもかぶれた弱い皮膚でもOKで、湿潤療法(※)にも使える超安心で便利な保湿剤です。
※湿潤療法(ラップ療法)とは
傷やヤケドを、保湿することで治す方法。
患部を水で洗ったら、ワセリンを塗りラップなど乾燥を防ぐ素材で覆うことで、傷やヤケドの治りを良くする。ワセリンはなくても良いですが、あった方が痛みが出にくいです。
キズパワーパッドは湿潤療法を簡単に実践できる商品です。
オススメ商品1 ベビーワセリン
主な成分
- 白色ワセリン
どんな人にオススメ?
- 乾燥部位に傷がある
- 他の保湿剤だけでは乾燥する
保存料・香料・パラベンフリーで、赤ちゃんから使えます。
ワセリンは他にも色々商品がありますが、こちらの商品はチューブタイプなのがウリ。
ポッドタイプのように指を突っ込まなくて良いので、雑菌繁殖の危険性がなく清潔です。
他の保湿剤を使った上からフタをするイメージで使うと、よりしっかり乾燥対策できます。
化粧水の後に、乳液やクリームを使うのと同じですね。
(治療目的で保湿剤を使うときは、重ねても良いか医師や薬剤師に確認しましょう)
オススメ商品2 プロペト ピュアベール
主な成分
- 白色ワセリン
どんな人にオススメ?
- 超敏感肌
白色ワセリンには、本当にごく少量のみ不純物が含まれます。
本来は全く問題なく赤ちゃんにも使えるのですが…
超敏感肌の方では、不純物が問題になってしまうことも。
ワセリンでかぶれてしまう方は、白色ワセリンをさらに精製したプロペトを使用しましょう。
プロペトは添加物も完全にゼロ。
医療用では目の中の治療に使う(※)くらい、安全な成分ですよ。
※自己判断で目に入れるのは絶対ダメ。もし入ったらすぐ流水で流してください。目の周りに塗るのはOKです。
保湿剤成分3 セラミド
元々、皮膚の角層の中に含まれる成分です。
期待される効果
- 皮膚の保湿
- 外部刺激から皮膚を守る
セラミドがオススメの人
- 肌荒れしやすい
- カサつきを感じる
セラミドは、角質細胞同士や水分をしっかりと繋いでおく接着剤のようなもの。
セラミドが不足した肌は、角質細胞の並びが乱れてスカスカに…。
そのため外部刺激から肌を守るバリア機能が低下し、肌荒れを起こしやすくなります。
さらに見た目にもキメがなくなって、カサつきを繰り返すようになってしまうのです。
セラミドは加齢の他、熱すぎるお湯に触れることや洗いすぎでも失われます。
オススメ商品1 キュレル潤浸保湿 ボディケアシリーズ 医薬部外品
主な成分
- アラントイン(炎症抑制、傷の修復促進)
- ヘキサデシロキシPGヒドロキシエチルヘキサデカナミド(疑似セラミド)
どんな人にオススメ?
- 全身のカサつき
- 肌荒れしやすい
セラミド系の代表とも言える商品です。
セラミドそのものは保湿剤に添加しにくいため、疑似セラミドを配合しています。
疑似セラミドも、セラミド同様に皮膚のバリア機能をサポート。
炎症を押さえる成分も入っているので、肌荒れを落ち着かせてくれますね。
ハンドケア用品以外は、赤ちゃんも使用OK
赤ちゃんってプニプニのお肌ですが、実は3歳までって大人より乾燥しやすいんです。
元々肌にあるバリア機能を助ける商品なら、赤ちゃんにも安心ですね。
敏感肌の赤ちゃんは、ボディウォッシュもセラミド商品を試しても良いかもしれません。
(赤ちゃんの肌荒れはまずは一度皮膚科を受診し、主治医と相談しましょう。)
オススメ商品2 DHC薬用セラミドシリーズ 医薬部外品
主な成分
- 植物由来セラミド
どんな人にオススメ?
- 顔の肌トラブルが多い
- 頬などのカサつきが気になる
こちらはフェイスケア用の、セラミド含有化粧品シリーズ。
無香料・無着色・パラベンフリーで、敏感肌の方にも安心。
乾燥が強く、頬がカサついたり粉を吹いてしまう時にセラミドがサポートしてくれます。
冬場は顔がかぶれたり痒みが出る方も、セラミドを足してあげると良いかも。
ラインで揃えるのはちょっと…という方は、まずはクリームから試してみてください。
しっかり潤いますが、サラッと使い心地の良いクリームです。
保湿剤成分4 尿素
インパクトの強い名前ですが、実はガサガサ肌の味方。
期待される効果
- 皮膚の保湿
- 角質分解
尿素がオススメの人
- 肌が潤わない
- くすみやガサつきがある
名前の通り尿の中にある物質ですが、化粧品に入っている尿素は尿から作ってるわけじゃないですよ。
アンモニアと炭酸ガスから作られています。
尿素は水とくっつきやすい性質のため、肌の水分をしっかり保ってくれます。
尿素自体が潤いを与えるというより、水分を逃がさないようにしてくれるイメージ。
また尿素には、余計な角質を溶かして取り除いてくれる効果も。
ガサガサの踵や肘などには、高濃度尿素クリームが良いですね。
踵以外でも、ターンオーバー(皮膚の新陳代謝)の乱れを修正してくれますよ。
※尿素は完全に無臭です!間違ってもおしっこのニオイがすることはないので安心してください。アンモニア臭は尿素が雑菌に分解されて初めて発生します。
オススメ商品1 資生堂 尿素10%ボディクリーム 指定医薬部外品
主な成分
- 尿素
- トコフェロール酢酸エステル(血行促進)
- グリチルリチン酸二カリウム(炎症抑制)
どんな人にオススメ?
- 全身がガサつく
- 保湿と角質ケアをしたい
尿素濃度が高くないので、全身に使えます。
クリームというより乳液に近いので、広く塗りやすいです。
セラミドのクリームとどちらを使うか悩む方は、肌の状態を確認しましょう。
赤みや痒みがあるならセラミド、ガサガサや皮膚の割れを感じるなら尿素です。
ボディクリーム以外にボディミルクとクリームの商品もあり、ボディミルクはさらにサラッと、クリームはハンドクリーム的な使用感です。
オススメ商品2 ケラチナミンコーワ20%尿素配合クリーム 第三類医薬品
主な成分
- 尿素
どんな人にオススメ?
- 踵や肘などがカチカチ
- 手や足がガサガサ
病院で処方される尿素20%クリームと、メーカーも同じで内容も全く同じです。
病院では角化症(皮膚の角質が厚く固くなる)や進行性指掌角皮症(皮がめくれたりする酷い手荒れ)などに処方されます。
家庭でも踵や手がひび割れるときに使ってください。
顔など柔らかい部位には刺激が強いのでNG
こちらで症状が改善しないときや痛みがあるときは、早めに病院を受診しましょう。
保湿剤成分5 セタノール
ヤシ油やパーム油など、自然成分を分離精製したものです。
別名セテアリルアルコール
期待される効果
- 皮膚の保湿
セタノールがオススメの人
- 敏感乾燥肌
セタノールは水と油を混ぜる乳化作用があり、様々な保湿剤や化粧品の補助成分として配合されています。
そのためセタノールを主な成分とする商品は少ないですが、実に様々な商品に入っているんです。
安全性が高くアレルギーが出にくい成分なので、使いやすいんですね。
シンプルな保湿剤なので、デイリー使いとして優秀な成分です。
オススメ商品1 セタフィルクリーム
主な成分
- セタノール
どんな人にオススメ?
- 全身をしっかり保湿したい
- 乾燥を予防したい
アメリカの薬剤師が開発した、保湿剤や洗浄液のシリーズです。
セタノールに加えて、敏感乾燥肌に良いアーモンド油を配合。
とっても肌に優しい内容なので、顔も含め全身に使えるし子どももOK
(念のためナッツアレルギーの方は使用を控えてください)
コッテリとしたクリームで、しっかり潤います。
大きなジャーに入っているので、プラスプーンなどで取り出すと良いですね。
ジャータイプが不便と感じる方や、もう少しサッパリしたものが良いならローションタイプを。
こちらはセタノールではなくセテアリルアルコール(※)ですが、保湿力は同等です。
※セタノールとステアリルアルコールの混合物
まとめ
乾燥は放置すると、痒みや肌荒れの原因に。
状態や自分に合った保湿剤で、しっかりケアしたいですね。
冬場など乾燥する時期は、乾燥を感じなくても保湿剤を使うことが大事です。
今回ご紹介した保湿剤を参考に、自分にピッタリの保湿剤を見つけてくださいね。