調査データ

薬剤師×薬学生~薬剤師が薬学生に伝えたいこと~

薬剤師から薬学生へのアドバイス、薬剤師がもっと勉強しておけば良かったと思う教科の1位は?

  • 2022.07.27

薬学生の暮らしは、課題や試験そして国家試験対策と忙しい毎日。

薬剤師に向けて着実に進んでいる割に、実務のイメージが掴みにくいと感じる方も多いですね。

「大変なのは今だけ?」
「どんな職場が良い?」
「本当にこの勉強は役に立つの?」

そんな疑問に、現役薬剤師100名に回答してもらいました!

薬学生に向けて、現場で働く薬剤師のリアルな声を紹介します。
これからの勉強方針や、進路の参考にしてくださいね。

 

この記事を書いた人

三上小夜香 三上小夜香
大手調剤薬局に勤務後、転勤族であるMRとの結婚により退職。結婚後はしばらくパートで働き、派遣薬剤師に転向。妊活に専念するため退職し、現在は子育てとライターの兼業中。趣味はゲームとネットサーフィン。

対象者:薬剤師100人
調査方法クラウドワークスによるインターネット調査
調査期間:2022年7月19日~7月22日

薬学生と薬剤師。大変なのはどっち?

授業や勉強が大変だけど、友達との楽しい時間を過ごせる学生時代。
責任を伴う代わりに、お金がもらえる薬剤師。

両方を経験した現役薬剤師に、率直にどちらが大変だと感じるか伺いました。

結果はこちら。
薬学生と薬剤師。大変なのはどっち?

薬剤師の方が大変と答えた方が、多い結果となりました。

それぞれの回答理由は以下です。
※回答は読みやすいように一部改変しています。

薬剤師の方が大変だと感じる理由

薬剤師の方が大変だと感じる理由※複数回答可

1位 自己学習・自己研磨が必要だから 47%

常に新しい情報を勉強しなくてはならないこと。
業務や家庭と並行して資格取得や資格維持のために自己研鑽が必要なこと。

常に新しい薬が発売されるので、普段の業務に加えてさらに勉強が必要なため。

勉強と仕事の両立が大変。特に新人の頃は、仕事を覚えなければならないし、薬の勉強も並行して行わないといけない。
休日は薬局で扱っている薬の勉強に費やしていました。

2位 人間関係・コミュニケーションが大変だから 32%

テストや実習など学生時代も忙しく感じていましたが、働き始めると患者さんとのコミュニケーションや職場の人間関係など違う大変さが続きます。

勉強は正解があったが、対人業務に正解がないため。薬局内の人間関係が狭く、人間関係に苦労する傾向がある。

3位 責任が伴うから 24%

ちょっとしたミスが患者さんの健康を害したり、話し方ひとつで患者さんを過度に心配させてしまったりと、自分の言動や行動のひとつひとつに責任が重くのしかかるため。

責任感がかなり増します。
学生だったら「知らない、わからない」が通用しますが、薬剤師になるとそれが通用しません。

4位 自分の時間がないから 11%

窓口応対や薬歴の記載、在庫管理などの時間で1日のほとんどが終わり、自分の時間の確保が難しい。

その他 8%

純粋に学問のことだけを考えながら仕事できるわけでなく、経営の問題や、ノルマなど付随する問題が多数あるから。

単なる知識だけではなく、様々な状況下での判断を強いられるから。

学生の勉強には、試験など区切りがあります。
一方薬剤師の勉強や自己研磨には終わりがなく、さらに目標も自分で決めなくてはなりません。

単に薬の知識があるだけでは実務をこなすことができず、コミュニケーション能力が必須であることも、薬剤師の方が大変だと感じる理由として挙げられました。

試験に落ちても、困るのは自分です。
ですが薬剤師になってからの失敗は、周囲の人や患者さんに大きな迷惑がかかるため、常に責任感や緊張感があります。

職場や立場によって異なりますが、学生のときよりも自分の時間がなさすぎるという声も聞かれました。

薬学生の方が大変だと感じる理由

薬学生の方が大変だと感じる理由

1位 試験・課題が大変だったから 73%

何も知らない学生には全く新しい知識をつける大変さがある。
薬剤師となってからは知識を上書きしている感覚なので勉強面では薬剤師の方が楽。

卒業試験、国家試験の勉強がプレッシャーもあり、人生で1番辛かった。

試験で点を取るための勉強をしなくてはならないため。
仕事では目的が患者のため、自分を守るためになるのでモチベーションが保ちやすい。

2位 やることが多く忙しかったから 18%

学生のときは、試験勉強と研究室、アルバイトとやるべきことがたくさんあったから。
薬剤師になったあとは、日々の仕事のなかで疑問に思ったことや興味をもったことについて勉強するのみなので、大変だと思ったことはない。

その他 9%

仕事だとお給料やキャリアアップに繋がり目に見える成果が得られるので大変ですが楽しめると思いました。
学生はゴールが卒業と国家試験合格でしかないので、大変なのを楽しめなかったためです。

学生の頃の勉強は試験期間に追われますが、薬剤師の勉強は自分のペースで進められるので大変ではないという声が挙がりました。

資格試験はありますが、卒業試験や国家試験のようなプレッシャーはありません。

余裕を持って働けている薬剤師にとっては、薬学生時代の方が忙しかったと感じられる結果です。

薬剤師の職場。最も負担が少ないのはどこ?

薬剤師の就職先として、主な職場は以下の4つです。

  • 調剤薬局
  • 民間病院
  • 大学病院
  • ドラッグストア

業務内容や給与面を考慮し、最も負担が小さいと感じる職場はどこか伺いました。

結果はこちら。

薬剤師の職場。最も負担が少ないのは?
回答理由は以下です。

1位 調剤薬局 50%

薬の種類は病院よりもはるかに少ない。特に点滴類や輸液類はないので、薬の幅が狭いのでミスも少ない。
仕事もピッキング・監査・投薬・薬歴と少ない。また、主にコミュニケーションをとるのは患者さんだけなので、そこまで負担は少ないと思うから。

門前の病院にもよると思うが、調剤薬局は一番調剤と患者さんに集中できる環境だと思った。
ドラッグストアは意外と市販薬とサプリメント等の飲み合わせ確認が大変。

調剤薬局は業務の種類が最も少なく、働きやすいという声が挙がりました。
調剤や服薬指導に、集中しやすい環境です。

ドラッグストアは店舗によっては楽ですがハズレを引くと地獄を見ます。サビ残てんこもり、時給換算するとパート以下です。
異動が多いしノルマもあるし体力勝負だし長年続ける仕事ではありません。
調剤ではそこまでのハズレ店舗を見たことがありません。

ドラッグストアは医療用の医薬品だけでなくOTCの知識も必要になってくるので覚えるものが多いと思います。
大学病院や民間病院だと夜勤などもあるので体力がないと辛いと思うし、医師や看護師の考えを汲んだりしないといけないと思うので大変だと思います。

他の職場に比べて、調剤薬局は体力・心理面でツラくないという意見も。
調剤薬局内での人間関係トラブルはありますが、他職種とのトラブルは少ないです。

枚数の少なめで人員が多い調剤薬局は、比較的個人の負担が減ると思う為。
ただし、調剤薬局が負担が少ないという訳ではなく、薬局ごとに負担の大小は異なります。

ですが調剤薬局の大変さは、薬剤師の配置数と処方箋枚数により大きく変動します。
サービス残業やパワハラが横行するブラック薬局が存在するのも事実です。

2位 ドラッグストア 30%

処方箋枚数が少なく、店舗で他の買い物をされる患者様もいるため、調剤薬局や病院と比べると時間にゆとりをもって調剤することができる。

一番患者様の生死に関わる機会が少ないと思うから。
薬の知識や治療法の知識も、他の職場に比べると限られる。

時間や勉強に追われず、ゆとりを持って働けるという声が多い結果です。
OTCの勉強は必要ですが、病態の知識までは不要な職場が多いですね。

高収入のため、たいていのことは気にならないと思う。

薬剤師がドラッグストアで働くメリットの調査でも、4人に1人の薬剤師が給与の高さを挙げています。
高収入を得られるので、大変ではないと感じる方もいますよ。

3位 民間病院 10%

院外処方がメインのため取り扱う品目は限られている。
夜勤が無ければ仕事としてはやりやすいです。

病院の規模によっては残業なく、ほぼ定時に帰れるところが多い印象なため。

院外処方を受ける薬局では、患者からの聴き取りや処方せんからの推定のみで状況を把握しなければならないが、それはムリがある。
医師と直に密にコミュニケーションを取れる環境のほうが負担が少ないと思う。

民間病院は調剤薬局や大学病院と比べて取り扱う医薬品数が少なく、夜勤もないので働きやすい現場が多い傾向です。
定時で病院が閉まるため、残業も少なめですね。

医師が身近なため、処方意図も理解しやすい環境です。

4位 大学病院 8%

コンプライアンスがしっかりしている。金銭的利益だけを求めない職場であるため負担が軽い。

カルテを参照し、検査値からくすりの妥当性を判断でき、患者さんとのヒアリングも最低限で済むため。
定時で終わることが多く、勉強会にも参加しやすい。

ノルマを求められることや極端に急がされることがなく、シフト通りに定時で上がりやすい職場が多いのが、大学病院で働くメリットですね。

薬剤師の人数が多いため、1人薬剤師のように心理的負担もありません。

5位 比較できない 2%

どの職種も何かしらに負担はあり、その負担は比較できるものとは考えられない。

仕事の大変さは、1つ1つの職場環境によって異なります。
業務内容の苦労も大変さの種類が違うため、比較しにくいですね。

薬局・病院実習や見学を経験する中で、自分に合う職場を見つけることはとても大切です。

薬剤師の給与。学費・業務内容と見合っている?

私立大学の薬学部は、卒業までに平均で1,200万円ほどかかります。
多くの奨学金を返しながら、働いている薬剤師も少なくありません。

そこで学費や業務内容に対し給与が見合うと感じるか、現在の職場ごとに伺いました。

調剤薬局薬剤師の給与は学費・業務内容と見合う?

調剤薬局薬剤師の給与は学費・業務内容と見合う?

調剤薬局の場合、仕事量は多すぎず少なすぎずなので、仕事量からすると給料の額面は適正だと感じる。

転職したため給料は良くなった。今の給料とは見合っていると思います。
ただ、転職前は見合っていなかったので会社によるかなと思います。

地方調剤薬局はまだ見合っていると思うが、年収400万前後では到底見合わない。
その金額で24時間対応などはブラックな職種だと思う。

6年制で約1,200万以上かけて卒業して薬剤師になれても、調剤では年収600万止まりの人が多いから。

対人業務が促進されている今日、薬剤師の職能拡大につき現場は思っている以上に疲弊していると感じるため。

在宅が絡んでくると、費用対効果が見合わない。常にやることが多く、ルーティーンにはならないので大変。
それなのに点数が低いので給料に反映されない。

民間病院薬剤師の給与は学費・業務内容と見合う?

民間病院薬剤師の給与は学費・業務内容と見合う?

見合うと思う。病院勤務で常勤として働いていましたが、きちんと手当がついていて、当直も別でお休みもとれていたから。
勤務時間、仕事内容、人員もいてとてもコスパはよい勤め先でした。

病院薬剤師は業務が多いにも関わらず、調剤薬局よりも給与が少なく見合っていないと強く感じる。
病院において薬剤師の業務は医師の補助であったり、処方に問題がないか常に気を張り、処方代行や疑義紹介など医師の補助を多くやっているにも関わらず、薄給で辞めていく薬剤師が多い。

病院薬剤師7年目ですが、残業がなければ手取り20万ありません。
以前当直のある市立病院に勤務していた頃は、残業が月に60時間ほどあって、やっと手取り35万でした。勉強にもお金はかかりますし、奨学金があるとやはり厳しいのではないかと思います。

ドラッグストア薬剤師の給与は学費・業務内容と見合う?

ドラッグストア薬剤師の給与は学費・業務内容と見合う?

ドラッグストアの初任給は高い。今後、昇給幅は少ないと予想されるが、自分の努力によって上乗せは可能だと思うから、見合っていると思う。

座れずずっと動きっぱなし、お昼にお昼ごはんを食べられない。
最近はコロナの検査キットや無料検査などでいろいろな人の対応に追われています。もっともっと高給だったら納得がいくかもしれません・・・。

大学病院薬剤師の給与は学費・業務内容と見合う?

大学病院薬剤師の給与は学費・業務内容と見合う?

国家公務員等級表を基に算出される基本給に加えて、薬剤師手当てがついているため。

多大なストレスを抱える割には、学費は高く、給料は安い。
給料は安定しているが、6年間通って資格を取得しただけの給料には見合わないと思う。

比較的給与に満足している人が多いのは、ドラッグストア・大学病院という結果です。
ドラッグストアは初任給が高く、大学病院は昇給幅が大きい傾向です。

調剤薬局は職場ごとに、かなり給与に幅があります。
同じエリアで同じような業務内容でも、年収が50万円以上違うことは珍しくありません。

自分で奨学金を返す予定の方は、中小調剤薬局など年収が高い職場への就職を検討することも大切です。

薬学生の勉強。薬剤師がもっと勉強しておけば良かったと思う教科は?

日々、自己学習が必要な薬剤師。
その基礎となるのは、薬学生のうちに学んだ内容です。

「もっと学生のうちに、勉強しておけば良かった!」と感じる教科はどれか伺いました。

薬剤師が学生のうちにもっと勉強しておけばよかったと思う教科※複数回答可

多くの意見が出ましたが、3人に1人の薬剤師が薬理学を挙げました。
次に大事だと考えられているのは、薬物動態学です。

回答の理由は以下です。

1位 薬理学 35%

薬理は大事であると思います。薬がどのように作用するのかやそれによって起こる副作用などを常に考えながら仕事をするため。

薬理学。薬がなぜ効くのかということはとても大事。
授業でしたことばかりでなく、自分でも勉強すれば良かったと思っている。

2位 薬物動態学 23%

薬物動態。添付文書や、インタビューフォーム、論文などを確認するときに必要。

薬物動態です。1番苦手な科目が、臨床でこんなにも知識として使うなんて。

3位 病態生理学 10%

病態生理。薬理は学校でも結構勉強しますが、病院に就職すると疾病の知識がないとなかなか医師と話をすることは難しい。

4位 調剤報酬・保険関係 7%

調剤報酬関連をやっておくと、この先自分が薬剤師になった際にやるべき事がわかります。

5位 コミュニケーション 6%

コミュニケーション、コーチングなど。
患者さんに分かりやすく説明することや、疑義照会、同僚への仕事の指示など、「伝える」のが仕事の肝になると痛感しています。

5位 生薬・漢方 6%

生薬学は覚えることに必死で内容をきちんと理解したとは言い難く、漢方薬について患者さんに聞かれた時戸惑うことも多い。
もっと個々の成分についてきちんと理解して勉強しておけばよかった。

5位 特になし 6%

特になし。(広く浅く全体を勉強しておいてよかった)

8位 統計学・数学 4%

統計学。論文を書く時にも必要てすが、データを的確に読み取る能力を磨くためにやるべきです。

8位 製剤学 4%

製剤学。薬の添加剤や構造式から、薬の性質を理解できる力は、現場で配合変化を防止したり、一包化ができる薬かどうかを判断するのにとても役に立つから。

10位 薬物治療学 3%

薬物治療学。「この疾患にはこのグループの薬」という紐付けは国試に向けた勉強で充分だが、同じグループの薬物でもそれぞれの特徴を理解しておくと、服薬指導の厚みが出る。

10位 薬事関係法規 3%

薬事関係法規。保険請求に関することや麻薬及び向精神薬取締法など、実際に業務を行うにあたって必ず必要になる。

その他 14%

情報科学。ホームページの検索やタイピングしか学ばなかったが、今の時代はホームページ作成や資料の作成は当たり前で独学で苦労している

国語や現代文。薬歴を書く際に必須です。
患者からのヒアリング情報をいかに端的にまとめて書くかで残業の時間も変わります。文章を書く力は必須です。

薬学の知識は当たり前なので、教養や他業種や業界のこと、ビジネスマナーなどは習得していきたい。

薬理学は、現場で最も必要とされる知識です。

新薬について理解する際や患者さんへの服薬指導、医師や看護師に薬の説明をする際にも必要となります。
社会人になってから、薬理だけは学び直したという方も複数いました。

薬理学は国家試験においても、点数を取りやすい分野です。

早いうちからしっかり勉強しておくと、他の教科との繋がりも見えやすくなりますよ。

まとめ

薬学部の学生生活は、勉強や課題に追われ忙しい毎日です。
遊ぶ暇がない期間も多いですね。

薬剤師になってからも大変なことは多々ありますが、その分やりがいも大きい仕事です。

薬学生時代の知識は、そのまま現場で活かせるものばかりです。
勉強したことが現場で活きるのは楽しいですよ。

薬剤師に向けて頑張っている薬学生の、参考になれば幸いです!

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