新型コロナウイルスの流行以降、薬剤師の転職は厳しい状態が続いています。
求人数は激減。
中でも派遣や短時間パートはほとんどないエリアも。
ですが人間関係トラブルなどで「今すぐ転職したい!」という薬剤師の方もいますよね。
今回は、コロナ禍で転職を経験した薬剤師にインタビューを行いました。
転職活動の中で転職エージェントから言われたことや、実際に感じた薬剤師の転職事情を詳しく伺っています。
加えてコロナ禍でも求められる、市場価値の高い薬剤師についてもまとめましたので参考にしてください!
三上小夜香
大手調剤薬局に勤務後、転勤族であるMRとの結婚により退職。結婚後はしばらくパートで働き、派遣薬剤師に転向。妊活に専念するため退職し、現在は子育てとライターの兼業中。趣味はゲームとネットサーフィン。
インタビュー対象者:1年以内に転職経験のある薬剤師8人
調査方法:クラウドワークスによるインターネット調査
調査期間:2021年9月29日~10月3日
コロナ禍で薬剤師の転職は厳しくなっている
新型コロナウイルスの流行以降、患者さんの受診控えが多くなりました。
加えて長期処方化も増え、薬局の売上は激減。
調剤薬局の倒産数は過去最多に。
引用元:東京商工リサーチ 「調剤薬局」の倒産が過去最多、コロナで受診控えが響く
コロナ禍の薬剤師の転職事情で、最も大きく影響を受けたのは派遣薬剤師です。
新型コロナウイルス流行以降、派遣薬剤師の求人数は激減。
派遣社員として働いていた薬剤師が、正社員として次々に就職しました。
派遣薬剤師が正社員になることで、薬局の人員が充足。
2021年秋時点では処方せん枚数はコロナ前に戻ってきていますが、正社員が足りているので正社員求人も減る結果に。
病院から調剤薬局への転職者が増え、以前より調剤側の人員が増えたという面も。
さらにコロナ禍が収まらないことで、転職に不安を感じる薬剤師が多い現状です。
以前に比べて、新しい求人は出にくい状況が続いています。
正社員求人だけではなく、短時間パート求人も激減しています。
企業としては、できるだけ長く働ける人員を求めるのは当然。
求人数が少なく企業の買い手市場である現在は、週30時間以上のパート求人が目立つ状況です。
週30時間以上で働ける人の求人しか、取り扱っていない転職サイトも増えています。
正社員しか募集していない薬局も多く、ママ薬剤師には厳しい状況が続きそうです。
コロナ禍の薬剤師転職事情まとめ
- 派遣求人が激減
- 派遣薬剤師が正社員となり、正社員求人も減少
- 転職控えにより新しい求人が出にくい
- 短時間パート求人も激減
ただし転職エージェントから、転職事情は元に戻る見込みと言われた方も。
薬剤師の業界は転職傾向も高く入れ替わりも激しいので、おそらく求人に関しては今後もどってくるような動向であると転職エージェントに伺いました。
しかし現時点(2021年10月)では、上のように薬剤師転職事情は厳しい状態。
いつ以前のような求人状況に戻るかは、まだ何とも言えないところです。
コロナ禍で厳しくなった薬剤師の転職。
その中で実際に転職した方の声を、以下で紹介します。
「体験談」コロナ禍のリアルな薬剤師転職事情
コロナ禍において、求人数が激減している薬剤師業界。
そんな中で、実際に転職を経験した薬剤師に体験談を伺いました。
多くの方が、コロナ禍での転職の厳しい現状を実感していました。
転職時期 2020年夏~11月
はっきり言ってコロナ前とは全く状況は変わりました。
まず年収で希望通りの募集案件はなく、転職により年収が下がることは避けられない状況でした。
比較的好条件の案件には応募がすぐに殺到しますので、面接にも至らないことがあります。
もちろん面接も複数の人が受けますので、その中で採用されるようと必死でした。
これだと思った案件にはすぐに応募し、選考では精一杯のアピールをしなければなりません。
今後も、単に経験があるからというだけでは転職が難しい状況は続くと思います。
転職時期 2020年9~10月・2021年9~10月
コロナ禍で患者様も処方箋枚数も減少傾向にあり、求人を出す企業が少なくなっていると感じました。
外部から人を雇うのではなく大手の薬局は人事異動で対応している企業もあるようでした。
1ヶ月程度で転職が決まったのは、転職エージェントの方から自分の条件に見合った求人をご紹介いただいたからでした。
本当に運が良かったなと感じております。
転職時期 2021年2~4月
2020年冬ごろにも転職エージェントに相談したのですが、その頃と比べて求人の数や条件が比にならないくらい悪くなってました。
転職活動を開始した2月時点では条件に合う求人が2件しかなく、さらに年収や年間休日なども良くありませんでした。
受かった中から条件を考慮して現在の職場に勤めていますが、人材が不足しているところにはそれなりの理由があるなといった感想です。
入れ替わりも激しく、人の補充もないので休むことはできません。
転職時期 2021年2月
中小規模の総合病院から単科の病院に転職しました。
紹介会社に条件を伝え、求人を紹介してくれる形だったのですが、転職が難しいとは感じませんでした。
病院の求人が減っているという話は聞きませんでした。
コロナの影響で病棟の見学ができないなど、平時の転職活動よりは判断材料が少なくなっているとは感じました。
転職時期 2021年6月
今回の転職は年齢的なものもあり、非常に厳しいと感じました。
いくつかの求人は年齢的に、応募の段階で弾かれてしまったようです。
現在勤務されている若い正社員の方が遅い時間帯は働きたくないので、シフト的に夜遅い時間帯メインで勤務してくれるのならば年齢不問という求人もありました。
コロナ禍で求人が減少し、希望通りに転職できなかったという声が聞かれました。
退職者が少ない中で求人が出るのは、ブラック薬局である可能性も。
真の好条件求人は応募が殺到し、資格や経験のある若い薬剤師が優先されます。
今回希望通りに転職できたのは、事前に転職サイトに登録していた方でした。
早い時期から転職サイトに登録しておくことで、いち早く求人情報をキャッチ可能。
余裕を持って転職活動することは、転職失敗の予防に繋がりますよ。
病院求人は減っていないとの口コミがありましたが、元から病院求人は少なめ。
病院なら転職しやすいというわけではないので、注意しましょう。
コロナ禍で市場価値が高い薬剤師とは?
転職難易度が上がった薬剤師業界。
しかしその中でも、必ず好条件の求人は一定数出現します。
そして好条件求人を勝ち取れるのは、市場価値の高い薬剤師です。
コロナ禍においても企業に求められる市場価値が高い薬剤師について、転職を経験した薬剤師に伺いました。
薬剤師の私見ではなく、転職エージェントに求められた条件など、客観的事実を教えていただきました。
調査の結果は以下です。
市場価値が高い薬剤師の条件まとめ
- 認定薬剤師・専門薬剤師
- かかりつけ薬剤師の経験がある
- 管理薬剤師の経験がある
- 在宅の経験がある
- 車の運転ができる
- 長時間(土日夜間含む)働ける
多く挙がったのは「認定薬剤師資格の有無」と「かかりつけ薬剤師」「在宅」「管理薬剤師」の経験です。
単なる人員確保ではなく、即戦力が求められていると言えます。
実際のご意見を、以下で紹介します。
転職エージェントに必ず聞かれるのが、認定薬剤師の有無・かかりつけ薬剤師や在宅の経験・管理薬剤師経験です。
首都圏では求人が少ないので何かの専門や認定をもっていないと、正社員として面接を受けるのは難しいと言われることもありました。
認定なし、在宅・管理薬剤師経験なしの私が評価された点に関しては、一人あたりの処方箋を捌く枚数が多い現場にいた経験があったこと、複数の診療科の処方箋を受け付けていたことであったと思います。
小児科や精神科などの診療科は避ける方が多いので、そういった場所での過酷な労働は経験としては評価されやすいいと感じました。
パートでも週30時間以上で働ける薬剤師。在宅を行う薬局が増えているため、車の運転ができる薬剤師。(転職エージェントとの面談で必ずと言っていいほど確認されました。)
在宅の経験があるか否かの確認もあったので、今後の薬剤師は在宅の経験が必須になってくると思います。
エージェントさんに、認定薬剤師・かかりつけ薬剤師の経験・管理薬剤師の経験があるかを問われました。
これらの経験がある薬剤師さんは、ない方よりも需要があるそうです。
遅い時間帯や日曜日、祝日も営業している店舗も多いので、フレキシブルに対応できる方が良いと聞いています。
また在宅に力を入れていく方向の薬局が多く、在宅に興味がある方、車の運転ができる方なども募集要項にあることも多くなっていているようです。
実務に繋がりにくく、これまであまり重視されてこなかった認定薬剤師や専門薬剤師。
しかしコロナ禍では人員厳選の基準となり、有資格者が優先されています。
忙しい店舗での勤務経験や、複数の診療科の処方せんを受けた経験が評価されることも。
企業が求める人材について、転職エージェントに調査してもらうと良いですね。
相手が求めるスキルや経験をアピールできれば、採用がグッと近付きます。
かかりつけ薬剤師の経験は、もはや必須レベルに。
在宅の経験も、今後必須となるでしょう。
かかりつけ・在宅については、可能な限り現職で経験を積むことが望まれます。
市場価値が高い資格や経験がない場合は、土日や夜間なども働くことを検討しましょう。
求人が少ない中でも、土日や夜間は人出不足の傾向。
「アピールできる経験が少なく、フレキシブルな勤務も難しい…」
そんな方は、人間性のアピールに力を入れましょう。
転職活動を通して知ったのは、募集背景として在籍していた薬剤師に問題があり、退職または解雇に至ったケースが多いということです。
そういった事情から、経営側は患者さんとも職場のメンバーとも上手くやっていける人を求めていると感じました。
実際の面接では、これまでの職場で円滑・円満に仕事を進めてきたことをアピールしました。
薬局でトラブルが起きた時に解決した経験など、具体的な事例も交えるとより良いと思います。
さらに経営者のよくある悩みで、会社の理想やビジョンに対し現場の社員が動かないというものがあります。職場のリーダーが経営者の考えを理解し、スタッフ達にうまく説明して理想に向けて動かしていければ大変喜ばれます。
経営理念やビジョンに対する、理解や意欲を示すとより一層採用に有利と思われます。
人間性のアピールで市場価値を高めるコツ
- 人間関係の良好さやコミュニケーション能力をアピール
- 企業理念に対する理解や意欲をアピール
転職エージェントの面接必勝法でも、人柄が重要と語られています。
人間関係トラブルなく働いた経験があるなら、前職の事例を挙げて伝えましょう。
面接でもハキハキ答えて、コミュニケーション能力をアピール。
転職成功者の面接ノウハウでも、企業理念に対する理解は重要とされていますね。
企業理念を読み上げるだけではなく、実行できる行動力と意欲をアピールしましょう。
求人の募集背景や求める人材・企業の考え方。
これらは転職エージェントにリサーチしてもらうと確実。
厳しい薬剤師の転職事情でも、しっかりと薬剤師をフォローしてくれるのは以下の2社。
上記2社は多くの面接に同行し、企業情報をしっかり集めている転職サイト。
企業情報に詳しく、面接ノウハウも豊富に持っていますよ。
薬剤師が選ばれる時代の中、自分の市場価値を高めてより良い職場で働きましょう!
まとめ
- コロナ禍で薬剤師の求人は激減し、転職が厳しい状況が続いている
- コロナ禍では希望通りの職場に転職できない薬剤師も多い
- 転職事情が厳しい中で市場価値が高いのは、認定薬剤師やかかりつけ薬剤師の経験者
長く売り手市場が続いていた薬剤師転職業界が、新型コロナウイルス流行で一変。
求人が激減し、転職したい薬剤師には厳しい状況が続いています。
コロナ禍で希望の転職を叶えるには、早めに転職活動をすることが大切です。
求人が出たらいち早く情報をもらえるように、事前に転職サイトに登録しておきましょう。
複数のサイトに登録すれば、それだけチャンスも増えます。
良い求人には応募が殺到するので、自分の市場価値を高めるアピールが大切。
自分の強みはなにか?
転職エージェントとの会話でしっかり把握しておきましょう。
その上で求人元が求めるスキルや経験・人間性をアピールすると採用に繋がりますよ。
職場の内情や人間関係に詳しいファルマスタッフ
対面面談や面接同行など、求職者へのフォローを重視しているファルマスタッフ。
エージェントが細かく現場に足を運ぶ分、職場の内情に詳しいのが特徴です。
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- 忙しさ
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